1998 Fiscal Year Annual Research Report
乾燥収縮による初期欠陥がコンクリート構造物の長期供用性に及ぼす影響の解析的評価
Project/Area Number |
09750539
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
下村 匠 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (40242002)
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Keywords | 乾燥収縮 / 初期欠陥 / 塩害 / ひび割れ / 物質移動 / ライフスパンシミュレーション |
Research Abstract |
表記の研究課題のもと,本研究では,構造物の力学性能の経時変化を数値シミュレーションする統合計算プログラムの開発と,その中に用いる材料の種々の劣化モデルの開発を平行して行った. 統合計算プログラムは,鉄筋コンクリートはり部材を対象に,かぶりコンクリート中の,水分,塩分,酸素の物質移動を一次元モデルにより評価し,主鉄筋の腐食の進行,腐食によるひび割れの生成,腐食生成物の堆積とひび割れによる鉄筋の付着性状の変化,これらの劣化が生じたはりの曲げ耐荷性状を時系列で予測するフレームを備えている.乾燥収縮による初期欠陥は,かぶりコンクリートの物質遮蔽性の低下として考慮される. この全体フレームの中に必要な材料の劣化モデルは多岐にわたるため,同時並行で種々の劣化モデルの開発に着手した.それらは,以下の項目にまとめられる. 1) 構造物中で乾燥収縮が内的および外的に拘束された場合に発生するひび割れの予測 2) 乾燥収縮によるひび割れが生じたかぶりコンクリートの水分移動過程の評価 3) 主鉄筋の腐食による腐食ひび割れの発生および開口の予測 4) 主鉄筋の腐食および腐食ひび割れが発生した鉄筋コンクリート部材の曲げ性状の評価 これらの成果の詳細は,発表論文にとりまとめた.個別のモデルは開発途上にあり,さらなる改良,拡張が必要であるが,問題点を明確にできたこと,統合計算プログラムの中での感度解析を行えたことが本研究の重要な成果である. また,本研究を遂行する過程において,コンクリート構造物の性能の経時変化を合理的に評価する基本的な方法論を確立することができたことが成果のひとつであり,このことも発表論文に掲載している.
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[Publications] K.Maruyama: "Effect of Rebar Corrosion on the Structural Capacity of Concrete Structures" Concrete under Severe Conditions2. vol.1. 364-371 (1998)
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[Publications] T.Shimomura: "Modelling of Initial Defect of Concrete due to Drying Shrinkage" Concrete under Severe Conditions2. vol.3. 2074-2083 (1998)
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[Publications] 青木 優介: "乾燥収縮応力解析に基づくコンクリート部材のひび割れ予測に関する研究" コンクリート工学年次論文報告集. 20・2. 643-648 (1998)
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[Publications] 青山 敏幸: "塩害により鉄筋が腐食したRC部材の曲げ性状" コンクリート工学年次論文報告集. 20・2. 883-888 (1998)
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[Publications] 下村 匠: "性能照査型設計システムにおけるコンクリート構造物の使用性照査" 土木学会 第53回年次学術講演会講演概要集共通セッション. 246-247 (1998)
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[Publications] K.Sakai: "Design of Concrete Structures in the 21st Century" International Congress“Creating with Comcrete". 発表予定. (1999)