1997 Fiscal Year Annual Research Report
コンクリート部材のせん断耐力に及ぼす軸方向力の効果の再評価に関する研究
Project/Area Number |
09750545
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
井上 晋 大阪工業大学, 工学部, 助教授 (30168447)
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Keywords | PCはり部材 / せん断耐力 / プレストレス / せん断ひび割れ発生荷重 / せん断ひび割れ傾斜角 / 修正圧縮場理論 |
Research Abstract |
本研究では,せん断補強筋を配置しないせん断破壊先行型のPCはり部材を対象として,そのせん断耐力に及ぼすプレストレス量(軸方向圧縮力),プレストレスの分布形状,コンクリート強度等の影響を実験・解析の両面から検討し,軸方向圧縮力がせん断抵抗メカニズムに及ぼす影響を再評価することを試みた。得られた主な結果を以下に示す。 1.せん断ひび割れ発生荷重は,断面下縁のプレストレス量が大きいほど増加する。また,下縁のプレストレス量が等しい場合は,その分布形状が長方形のものがもっとも大きく,以下,台形分布,三角形分布の順となる。 2.せん断ひび割れの傾斜角は断面下縁のプレストレス量が大きいほど小さく,また,下縁のプレストレス量が等しい場合は,その分布形状が長方形のものがもっとも小さく,以下,台形分布,三角形分布の順となる。また,いずれの場合も,各種の基準で仮定されている45度と比較して30〜40度とかなり小さな値となる。 3.せん断ひび割れ発生荷重は,国内外の各種設計基準類で計算されるコンクリート負担せん断力と比較してもかなり大きく,現行基準はせん断耐力に及ぼす軸方向圧縮力の効果をかなり過少評価する傾向がある。これに対し,修正圧縮場理論による計算値はせん断ひび割れ発生荷重をかなりの精度で推定する。 4.最終的なせん断破壊荷重(せん断耐力)は,各種基準や修正圧縮場理論による計算値よりもかなり大きくなる。これは,せん断補強筋を配置しないPCはりの場合,せん断ひび割れが発生してもそれが直ちに斜め引張破壊に結びつかず,軸方向圧縮力の効果によりタイドアーチ的耐荷機構が形成され,最終的に曲げせん断破壊するためと考えられる。したがって,軸方向圧縮力作用下のせん断抵抗メカニズムは,せん断補強筋を配置する場合としない場合で異なり,配置しない場合は例えばストラット&タイモデルのような評価法が必要であると考えられる。
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