1997 Fiscal Year Annual Research Report
断層面上での構成則を考慮に入れた断層近傍での地震動と表層地盤の変形に関する研究
Project/Area Number |
09750547
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
谷山 尚 埼玉大学, 工学部, 助手 (80236710)
|
Keywords | 地表地震断層 / 動力学断層モデル / 摩擦法則 / 地震動 |
Research Abstract |
断層面上でのせん断応力とすべりの間の構成関係として,従来の地震動の計算の際に仮定されていたように,せん断応力が破壊強度に達すると直ちに応力降下を起こすとした場合と,岩石の摩擦実験結果でみられるように,破壊強度に達した後に生じたすべりとともに指数関数的にせん断応力が減少していく関係を与えた場合について数値解析を行い,断層面上での構成関係が地表での地震動に与える影響について検討した.その結果,1.5Hz以下の周波数の地震動については,応力が低下するのに必要なすべり量が20cm以下であれば,破壊後直ちに応力が低下する場合と比較して,あまり違いがみられないのに対して,必要なすべり量が数十cmになると断層の近傍においては,地震動が小さくなる可能性が高いことを示した.また,兵庫県南部地震において,野島断層下の震源断層の浅部で,応力が低下するのに1mのすべり量が必要であったとすると,瞬間的に応力が低下する場合と比べて,淡路島の断層近傍での地震動は,特に断層直交方向で小さくなることを示した. 次に,活断層が堆積物で覆われている場合に,震源断層の動きが表層の地盤内をどのように伝わるかについて,模型実験と数値解析により検討した. その結果,逆断層については,地盤を弾塑性体,すべり線をジョイント要素でモデル化した有限要素法による数値解析により,実験結果を比較的良好に再現できることを示した.さらに,断層モデルを用いて震源断層の動きを求め,その動きを表層地盤モデルに加える数値解析を行い,表層の堆積層の厚さの数パーセントを越える鉛直方向のすべりが断層上で生じると,すべりは堆積層内を伝播して地表にまで達する可能性が高いことを示した.
|
Research Products
(1 results)