1997 Fiscal Year Annual Research Report
地震観測記録と地盤構造データを用いた入射波動場の解析
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09750548
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
茂木 秀則 埼玉大学, 工学部, 助手 (80261882)
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Keywords | 入射境界増幅率 / 分布入射波平均増幅率 / 入射波の推定 / 境界要素法 / 二次元SH波動場 |
Research Abstract |
不整形構造に起因して一次元重複反射理論では説明できない増幅現象が生じることが数多く指摘されており,不整形地盤を対象とした増幅率・入射波動の推定手法を検討することが必要である.このため二次元SH波動場における境界要素法を用いて,増幅率の算定手法と入射波の推定手法について検討した. [1]不整形地盤における増幅率の算定手法 不整形地盤の増幅特性を表す指標として,基盤層境界上の各点における入射波に対する増幅率(入射境界増幅率)を提案し,以下の点を指摘した.(1)地表近くの不整形境界への入射波は不整形境界から離れた点にも大きな寄与を与え得る.(2)(1)で述べた寄与は振動数依存性の低い波線論的な寄与である.(3)不整形境界から離れるにつれて着目点直下からの寄与も受けるようになるが,この寄与は振動数に依存した重複反射的な寄与である.さらに,入射波の分布を確率論的に評価し,それに対する平均的な増幅率(分布入射波平均増幅率)を提案し,以下の点を指摘した.(4)一次元重複反射理論による増幅率は振動数依存性が強く,また,平面波入射に対する応答値は入射角と着目点の位置に対する依存性が強い.(5)分布入射波平均増幅率は特定の入射角に起因する局所的な増幅特性を十分に表すものではないが,平面波入射に対する応答値の包絡線に近い形状を示し,振動数と着目点の位置に対する依存性の低い,安定した増幅率を与える.(6)(5)から不整形地盤の構造のみが既知で震源を特定できない場合,分布入射波平均増幅率が不整形地盤の増幅特性を考える上で有効な指標となる. [2]入射波の推定手法 入射境界増幅率を用いて,数点の観測記録から入射波の主たる入射角とその時間関数の推定手法を示し,簡単な2次元半円形堆積盆地モデルで計算を行い,その妥当性を示した.
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Research Products
(2 results)