可変減衰機構を併用したセミアクティブ型マスダンパーの制御アルゴリズムの開発

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09750552
• Research Institution: Kyoto University
• Principal Investigator: 五十嵐 晃 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80263101)
• Keywords: マスダンパー / 振動制御 / 制御則 / 制震 / 可変減衰 / 非線型制御 / 変位制限

Research Abstract

本年度は,可変減衰を用いたセミアクティブ型マスダンパー制震システムの制御アルゴリズムの理論展開および数値シミュレーションによる予備的検討ならびに、次年度以降の実証実験の準備のための供試体の試設計および試作を行った.
まず,制御装置のストローク変位についての能力制限を考慮しつつ応答低減効果を確保する可変ゲイン制御アルゴリズムを取り上げた。このアルゴリズムの考え方に基づき、対応する制御力を最小化するようなダンパーの減衰定数および復元力バネ係数を検討した後、時々刻々制御構造物の応答を計測した結果に基づいて減衰定数およびバネ係数を更新し、非定常な地震入力に対しても常に必要制御力を最小化することを目指した可変減衰・可変剛性制御アルゴリズムを定式化した。
次に、前項の段階で開発した制御アルゴリズムの挙動を詳細に調べるため、この方式のマスダンパー装置を用いた構造物の地震応答を調べる数値シミュレーションを実施した。この結果、入力の時変な特性が緩やかに発生するような地盤入力の場合においては、狙い通りきわめて低い制御力で応答低減効果を発揮することが示され、本研究課題における方法論により効果的なセミアクティブダンパーとして実現できることを確認した。
さらに、本研究課題の次年度以降に予定している、模型供試体を用いたアルゴリズムの性能実証試験の準備段階として、実験模型の設計および試作を行った。研究代表者の所属機関に既設の小型振動台を用いた試験を想定し、模型の重量・寸法および可変減衰を実現する電磁ダンパーのスペックを決定した。ダンパーなどの発揮性能を検討した結果、十分実証実験に用いることの出来る性能を持つことを確認した。

Research Products

• [Publications] 家村浩和・ 五十嵐 晃 ほか: "Development and Testing of Variable Gain Control Algorithms for Seismic Response Control of a Full-Scale Frame Structure" Proc.16th Biennial Conference on Mechanical Vibration and Noise. DETC97/VIB3823 (1997)
• [Publications] 五十嵐 晃 ほか: "AMD変位制約を考慮した多自由度構造物の非線型震動制御" 土木学会第52回年次学術講演概要集. 1-B. 342-343 (1997)
• [Publications] 五十嵐 晃 ほか: "多自由度系構造物のAMD変位制約非線型制御則に関する研究" 第24回地震工学研究発表会講演論文集. Vol.1. 305-308 (1997)
• [Publications] 五十嵐 晃 ほか: "可変剛性・減衰要素を有するアクティブTMDのための最適制御則" 土木学会関西支部年次学術講演概要. (発表予定). (1998)