1997 Fiscal Year Annual Research Report
ジオテキスタイルにより補強された盛土の力学モデルの構築
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09750566
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小山 茂 信州大学, 工学部, 助手 (30271886)
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Keywords | ジオテキスタイル / 体積変化 / 補強材の物性 |
Research Abstract |
本研究では,ジオテキスタイルにより補強された盛土の設計において用いられている極限つり合いモデルで想定された二種類の破壊形態のうちの一つである,補強材の引抜けによる破壊に着目し,試料土を砂とした補強材の引抜き実験を行った.その結果,従来使用されている引抜き抵抗力の設計式では考慮されていない補強メカニズムとして,少なくとも二つの補強効果が存在することを明らかにした. 一つは,補強材の引抜きに伴う,補強材周辺での砂の体積膨張を拘束することによって発生する補強効果である.模型盛土の上部境界条件を自由にした場合,補強材周辺では砂の体積膨張が観察され,引抜き抵抗力は設計値に近いものとなった.一方,上部境界を固定した場合は,引抜き抵抗力は設計値よりも大きいものとなった.実際の盛土の上には構造物がある場合多い.現行の設計法では,これらの構造物は上載荷重の増加としては考慮するものの,盛土上部における鉛直変位の発生を拘束する境界としては考慮していない.したがって,現実の盛土は上部境界条件が固定に近いにもかかわらず,現行の設計は上境界条件が自由の場合に近いものとして行っていると考えられる. もう一つは,補強材の伸びによる引抜き補強効果である.現行の設計において引抜き抵抗力は,補強材と地盤材料との間の摩擦力によって発生すると考えているが,補強材に発生する引張り力も引抜き抵抗力に寄与していることが実験より明らかとなった.また,補強材の物性により,最大引抜き抵抗力や荷重変位曲線におけるピーク後の引抜き抵抗力の減少の仕方が異なるということが分かった.
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Research Products
(1 results)