1997 Fiscal Year Annual Research Report
排水機能付矢板による河川堤防の地震被害抑止機構と限界状態設計法の確立に関する研究
Project/Area Number |
09750576
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
北 勝利 東海大学, 海洋学部・海洋土木工学科, 講師 (60234225)
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Keywords | 地震 / 液状化 / 間隙圧 / 土の繰返し塑性 / 盛土 / 排水機能付矢板 / 塑性安定解析 / 飽和砂質地盤 |
Research Abstract |
排水機能付矢板締切り工法は、砂質地盤上の盛土や河川堤防などの法尻に通水性矢板を打設することにより、矢板自体の剛性による盛土直下地盤の変形拘束効果とともに、排水機能付加による矢板近傍地盤の過剰間隙水圧の抑制による強度維持を期待するものである。本研究ではまず、過剰間隙水圧の分布性状に及ぼす排水機能付加の効果について解析的検討を加えた。すなわち、過剰間隙水圧の蓄積・消散過程を、(1)繰返し載荷に伴う土の塑性体積ひずみの蓄積過程を、せん断変形履歴との相互関係を考慮せずに既定関数で与える、(2)せん断振動成分を無視して漸増塑性体積変化分のみに着目する、ことにより、地震載荷中の地盤内過剰間隙圧応答を部分排水問題として捉え、内部生成項を含む二次元圧密方程式で定式化した。これを数値的に解くことにより、矢板の排水機能付加による地盤内過剰間隙水圧の抑制効果を検討した。解析の結果、普通矢板の場合と比較して、矢板に排水機能を付加することにより、矢板近傍1m程度の範囲において最大残留間隙水圧の低減効果が認められた。次に上記解析で得られた最大残留間隙水圧分布を基に、盛土ー地盤ー矢板系の地震時安定解析を行った。安定解析では関口・三村(1992)による矢板護岸の安定解析と同様の塑性流動機構や矢板折れ曲がりモードを仮定した。地震力を水平震度で評価し外部仕事率に組み入れた。また内部消散率の評価にあたっては、過剰間隙水圧の上昇による土の強度低下を考慮した。上界法的アプローチにのっとり系全体の外部仕事率と内部消散率を等値し、系破壊時の水平震度を与える式を誘導した。例題解析の結果によると、排水機能付矢板打設の場合に、普通矢板打設の場合と比較して二割程度破壊時水平震度が大きくなる結果を得た。また本解析法による破壊時水平震度は、円弧すべりを仮定した場合と比較してかなり小さい値となった。
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