1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09750581
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Research Institution | Hokkaido Institute of Technology |
Principal Investigator |
川端 伸一郎 北海道工業大学, 工学部, 助手 (10224833)
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Keywords | 凍上 / 石灰安定処理 / 透水性 / pF / 吸着水 / 凍上試験法 |
Research Abstract |
石灰安定処理土の凍上抑制効果に与える影響因子を明確にするため,養生方法の異なる安定処理土において土中の水分特性に着目し,各種の改良条件でpF試験,透水試験および凍上試験を行った。通常の安定処理土は石灰混合-締固め-養生,という工程で作成される。本研究は,従来の方法で作成した供試体(締固め養生)と石灰混合-養生-締固め,の工程で作成した供試体(混合養生)との比較によって複数の試料で検討を行った。 凍上抑制効果は締固め養生と混合養生の両者で確認され,養生方法で比較すると混合養生の凍上抑制効果が顕著であった。一般的な安定処理土の凍上抑制原理はポゾラン反応による粒子間力の増大と透水性の低下が主因とされている。しかし,混合養生では粒子間力の増大は期待できず,さらに締固め養生の供試体で行った透水試験から透水性の低下は短期間で一定値に収束することが確認された。凍上量は養生日数との関連が強いことから,凍上抑制原理としては既成概念以外の影響因子が考えられた。 pF試験よって得られた水分分布曲線から,間隙構造は混合養生では単粒構造に類似した形態であり,締固め養生では画一化されない複雑な構造であることが示された。これに伴い,毛管力(サクション)は養生方法の違いによって差異が生じていた。さらに,pF=4.2以上の含水量を吸着水量と定義すると凍上量との関係において試料や供試体作成方法によらず直線的な相関関係が確認され,吸着水量が少ないほど凍上が抑制されていた。 これらの結果から推測される石灰安定処理の凍上抑制原理としては,間隙構造の変化による毛管力の減少と反応生成物による土粒子表面の活性変化が吸着水量を減少させることに起因すると考えられた。 さらに,現状で自然凍結を対象とした凍上試験は基準化されておらず,数種ある凍上試験は試験条件や試験機に多くの問題点を有している。本研究では供試体端面温度を制御した新たな凍上試験機を作成し,これにより高度な凍上判定が可能であることを確認した。
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[Publications] S.KAWABATA,M.KAMIYA,M.OHSAWA: "Test Construction of Frost Blanket Using Line-Stabilized Soil." Proc.of International Symposium on Ground Freezing and Frost Action in Soils.241-246 (1997)
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[Publications] 川端伸一郎、神谷光彦: "石灰系固化材を用いた安定処理土の強度と凍上性" 農業土木学会論文集. 192号. 105-111 (1997)
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[Publications] 川端伸一郎、神谷光彦、大沢正人: "試験盛土における石灰安定処理の凍上抑制効果" 土と基礎. Vol.46No.4. 25-28 (1998)
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[Publications] 川端伸一郎、中村宏彰、神谷光彦: "石灰安定処理土の水分特性が凍上性に与える影響について" 第32回地盤工学研究発表会講演集. 1181-1182 (1997)
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[Publications] 川端伸一郎、神谷光彦: "石灰安定処理土の水分特性が凍上性に与える影響(第二報)" 地盤工学会北海道支部技術報告集. No.38. 29-34 (1998)
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[Publications] 川端伸一郎、神谷光彦、中村宏彰: "石灰安定処理土の水分特性が凍上性に与える影響" 1998年度日本雪氷学会全国大会講演予稿集. 55 (1998)