1997 Fiscal Year Annual Research Report
水源森林流域の保水・水質形成維持機能に及ぼす森林環境要因の影響に関する確率的評価
Project/Area Number |
09750591
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
篠田 成郎 岐阜大学, 流域環境研究センター, 助教授 (80187369)
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Keywords | 水文・水質・気象現地観測 / 植生・土壌結合確率分布 / 森林内全窒素収支 / 降雨中窒素 / 植生特性量分布 / 土壌水分量 / 窒素固定機能 / 森林内土地被覆情報 |
Research Abstract |
森林の水環境保全機能に関する基礎的地検を収集するとともに,森林域での流出現象における流量・水質時系列の確率的変動特性を森林内環境諸量の関数として評価する手法を確立するために,人為的影響の無視できる流域最上流森林域(岐阜大学流域環境研究センター高山試験地周辺の木曽川水系飛騨川最上流青屋川流域:流域面積約4,500ha)を対象とした水文・水質・気象に関する総合的現地観測を実施した結果,次のような研究成果を得ることができた. ●営林署提供の森林管理簿の解析から,植生と土壌との間の結合確率特性を明らかにし,この結合確率分布は植生成長率と単位面積当たり材積とにより表現されることを示した. ●因子分析,主成分分析および重回帰分析より,森林流域内の渓流中の全窒素量および流量が植生成長率,単位面積当たり材積,褐色森林土壌面積割合および常緑針葉樹面積割合に支配されていることを明らかにした. ●林内外の降雨量が標高に比例するのに対し,林内降雨中の全窒素量は空間的に一様となることを明らかにした. ●森林流域内での全窒素収支過程を時間発展型の微分方程式として定式化し,1996年の連続4日間および1997年の連続6日間の集中観測データを用いてこの全窒素収支モデルを検証することができた. ●土壌水分量の時間変化は降雨量のみならず,森林内の水蒸気フラックスに大きく支配されており,こうした影響が流出流量にも大きく影響を及ぼしていることを明らかにした.
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[Publications] 篠田成郎: "森林流域内での全窒素収支に及ぼす植生分布の影響" 平成9年度土木学会中部支部研究発表会講演概要集. 389-390 (1998)
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[Publications] 篠田成郎: "山地森林域での降雨中全窒素濃度の観測" 平成9年度土木学会中部支部研究発表会講演概要集. 391-392 (1998)
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[Publications] 篠田成郎: "森林域渓流水中の全窒素濃度と土地被覆状況との関係" 平成9年度土木学会中部支部研究発表会講演概要集. 393-394 (1998)
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[Publications] 篠田成郎: "植生分布を考慮した森林流域内全窒素収支モデルとその適用性" 地球環境シンポジウム論文集. 6(印刷中). (1998)