1997 Fiscal Year Annual Research Report
持続可能な発展のための環境規制政策に関するゲーム論的研究
Project/Area Number |
09750620
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
福山 敬 鳥取大学, 工学部, 助手 (30273882)
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Keywords | 環境規制 / ゲーム理論 / 執行 / インセンティブ |
Research Abstract |
本研究では、環境規制にともなう規制主体の規制執行及び被規制主体間の規制遷守・違反行動をゲーム論的観点からモデル化し、環境規制の実効性に関する政策分析を行った。本研究者は、これまで環境規制における様々な規制実施政策の有効性に関する研究や、被規制主体の戦略的行動を明示的に表現し分析するためのゲームモデルを提案してきた。環境規制において、政府が最小限の規制執行しか行わないとき、政府は事業主体による規制違反を明確に把握することは難しく、事業主の環境規制に対する遷守努力を低下させるインセンティブが存在する。このような事業主の遷守努力低下のインセティブを考慮すれば政府はより厳しい環境規制の執行努力を行うと考えられる。しかしながら、このような厳しい環境規制実施努力のもとでは、規制遷守に関し自発的に努力している事業主のインセンティブが失われてしまうかもしれない。結果として、政府と事業主間に環境規制の緩やかな執行努力のもとで事業主による自発的環境規制遷守という効率的な社会状態を達成できないことになる。 本研究では、環境規制を執行する政府の執行努力と被規制主体である事業主間の規制に対する規制遷守・違反選択行為を非協力ゲームモデルにより表現し、このような環境規制の実施における戦略的行動と情報の不完全性に立脚する規制の不効率性を明示的に含む環境規制ジレンマゲームモデルを提案した。さらに、本モデルに関する均衡解分析を通して環境規制の非効率性を明らかにし、環境規制の効率的かつ効果的な実施方策に関する1つの有効なアプローチを提案した.より詳細には,まず,環境規制を実施しようとする規制主体(政府)と被規制主体(事業主)の規制に関する意思決定を非協力ゲーム理論を用いたゲームモデルとして表現し,各主体の戦略的行動の結果として実現する規制の結果の効率性をゲームの均衡解として明らかにした.また,提案したゲームモデルを基礎に,環境責任制度の違いが規制の効率性に与える影響を明らかにした.
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