1997 Fiscal Year Annual Research Report
生産力の異質性を考慮した都市システムモデルの推定方法
Project/Area Number |
09750621
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
奥村 誠 広島大学, 工学部, 助教授 (00194514)
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Keywords | 都市モデル / モデル推定方法 / 異質性 / 業務トリップ |
Research Abstract |
高速道路や新幹線などの高速交通機関、あるいは先駆的な交流施設の整備は都市間の競争条件を変化させ、地域の発展パターンに大きな影響を与える。このような影響を分析するために都市システムモデルが開発されているが、パラメータの推定方法が確立されておらず、仮想的なケースに対するシミュレーション実験に留まっている。本研究は歴史的な経緯により各都市の生産力に質的な差異(異質性)が存在することを前提として、異質性を考慮した都市システムモデルのパラメータ推定方法を開発する。生産力の異質性は直接データの形で観測できないため、通常の地域モデルで使われている推定方法を利用できない。本研究は交通行動モデル推定の近年の研究成果を援用した推定方法の開発を目指す。2年次の研究のうち、前半の本年度の成果は次の2点である。 1.都市システムモデルにおける異質性概念の整理 既存の文献を収集・整理し、都市の異質性の原因の分類を行い、長期的な影響力の違いについて検討した。その結果、資源の商品・サービスの価格に反映される異質性は資源や立地の移動をもたらすので長期的な影響力を持たないが、個々の企業に帰着できない生産力の違いが長期的な影響をもたらすと考えられる。 2.異質性を考慮した業務交通量モデルの推定法の研究 異質性の推定では、特定の都市にかかわる観測データを多く用意することが望ましい。そこで、交通量という形で観測サンプルが多く得られる業務交通量モデル式に着目し、異質性を潜在変数を用いて表現した場合の推定方法を、共分散構造分析の方法論を参考に開発し、適用を試みた。その結果、異質性を考慮しない場合に比べてモデルの再現性の向上が見られた。
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