1997 Fiscal Year Annual Research Report
硫酸還元菌を利用した重金属及び有害有機物質の同時除去による汚染土壌の安定化
Project/Area Number |
09750630
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福士 謙介 東北大学, 大学院・工学研究科, 講師 (30282114)
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Keywords | 硫酸塩還元菌 / 重金属 / 銅 / 土壌 / カラム反応槽 / 嫌気性 / 有害物質 |
Research Abstract |
人間による産業活動は多くの新しい汚染物質による深刻な環境汚染を引き起こしている。製錬所や鉱山などから環境中へ移行された重金属によって汚染された土壌は植物生産の場として利用が不可能なだけではなく、その地域の生態系に著しい影響を及ぼだけにとどまらず、地下水が汚染される可能性があり、地下水を水資源として大量に利用しているわが国の現状を考えると、地下水汚染は無視できない問題である。 一方、重金属汚染を引き起こす大部分の重化学工業はディーゼル燃料などの有害有機物質を排出し、重金属汚染と同時に有害有機物質による土壌汚染を引き起こしている。 本研究は特別に順養された有害有機物質を分解可能である硫酸還元菌を硫酸イオンとともに土壌中に保持し、土壌に含まれる重金属を不溶物として固定し、同時に有害有機物質の分解を可能とする研究であり、これらの物質に汚染された土壌の安定化に貢献できる研究である。 本年度はプラスチック製カラム型の反応槽に細かい砂利を充填し、内部に高濃度の硫酸塩還元菌を培養した。 硫酸塩還元菌はカラム内部に適時補給された有機物(ここでは酢酸)を利用して硫化水素を発生する。 カラム内の酸化還元電位は常にマイナスの値を示し、カラム内が嫌気的であったこと示唆している。 反応槽に1リットル当たり約10ミリグラムの銅を水理学的滞留時間約3日で通じた結果、流出液からは検出限界以下(O.01mg/l)の銅しか検出できなかった。 この状態は実験開始後約6ヶ月を経た現在でも変わっておらず、このシステムが高い効率で重金属が除去されることが実証された。
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