1997 Fiscal Year Annual Research Report
アルデヒド類の室内・作業環境基準設定のための基礎的研究
Project/Area Number |
09750636
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 知成 京都大学, 工学部, 助手 (50273488)
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Keywords | アセトアルデヒド / DNA損傷 / N2 ethyl-dGTP / DNAポリメラーゼ / 突然変異 |
Research Abstract |
アセトアルデヒドは大気中、食品中、タバコ煙中に広く存在しており、実験動物の呼吸器系に発癌を引き起こすことが知られている。アセトアルデヒドの引き起こす突然変異をシャトルベクターを用いて調べたところ、極めて特徴的なタンデム変異を引き起こすことが明らかになった。また、それが、DNAのイントラストランドクロスリンクが原因であることが明らかになった。アセトアルデヒドの引き起こす、イントラストランドクロスリンクの化学構造はまだ不明であるが、最近アセトアルデヒドの引き起こすモノアダクトが同定された。その内の一つにN2-ethyl-dGが知られているが、この損傷によってどの様な突然変異が誘発されるのか調べた。まず、ヌクレオチドプール中の損傷塩基がどの程度DNAに取り込まれるかを調べるために、N2-ethyl-dGTPを合成し、in vitroの系でDNAへの取り込みを検討した。大腸菌polI、牛pol α、pol β、pol δを用いて実験した結果、いずれのポリメラーゼを用いた場合も、N2-ethyl-dGTPはDNAによく取り込まれた。8oxo-dGTPを用いた同様の研究と比較すると、N2-ethyl-dGTPは8oxo-dGTPよりもはるかによく取り込まれることがわかった。ただし、取り込まれる相手はほとんどがCであり、直接突然変異の原因にはならないことが示唆された。しかし、N2-ethyl-dGTPが取り込まれた結果、DNAの構造を不安定にするなどの間接的なメカニズムで染色体異常を引き起こす可能性が示唆された。DNAのN2-ethyl-dGによる突然変異の誘発はただ今研究中である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] T.Matsuda, M.Kawanishi, T.Yagi, S.Matsui, H.Takebe: "Specific taudem GG to TT base substitutions induced by acetaldehyde are due to intra-Strand crosslink between adjacont guanine bases" Nucleic Acids Research. (in press).