1997 Fiscal Year Annual Research Report
耐震性能及び居住性能向上のための既存建築物に対する制振装置のハイブリッド最適設計
Project/Area Number |
09750661
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
辻 聖晃 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (00243121)
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Keywords | 耐震改修 / 履歴ダンパー / 粘性ダンパー / 最適設計 / 設計用応答スペクトル / 幾何学的等価線形化法 / 応答スペクトル法 / 等価減衰定数 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は以下のように要約できる。 1.粘性ダンパーと履歴ダンパーを直列に組みあわせたダンパー(Maxwell型ダンパー)を、既存の建築構造物に付加した場合の地震時弾塑性最大応答を、弾性構造物に対する応答スペクトル法と幾何学的等価線形化法を組み合わせて高い精度で評価する方法を開発した。 2.Maxwell型ダンパーを付加した並進せん断型構造物モデルに、レベル1相当あるいはレベル2相当設計用応答スペクトル適合地震動群が作用したときの、層ごとの平均層塑性率分布および最上層の平均最大加速度について、以下の性質を明らかにした。[1]履歴ダンパーの弾性限変形を大きめに設定した場合には、粘性ダンパーのみを付加した場合に比べて、(a)平均層塑性率はほぼ同じであり、(b)最上層の平均最大加速度と粘性ダンパーに作用する最大荷重は小さくなる。[2]履歴ダンパーの弾性限変形を小さめに設定した場合には、[1]の場合に比べて、(a)平均層塑性率と最上層の平均最大加速度は大きくなり、(b)粘性ダンパーに作用する最大荷重は小さくなる。[3]構造物の等価一次減衰定数が最大になるように履歴ダンパーの弾性限変形を与えれば、最上層の平均最大加速度をほぼ最小にすることができる。 3.2で明らかにされた性質を考慮して、既存構造物の耐震改修用の効率的なダンパー配置を見いだすための、以下の二段階からなる手順を提案した。[Step1]主体骨組の剛性分布が与えられた構造物に対して、本研究代表者が提案する「最適粘性ダンパー配置方針」にしたがって、層塑性率に対する制約を満足するように、粘性ダンパーを各層間に配置する。[Step2]構造物の等価一次減衰定数が最大になるような、履歴ダンパーの弾性限変形を決定する。
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