Research Abstract |
SRC柱では内蔵鉄骨に曲げ耐力を期待するが,鋼材を断面の芯に配置し,曲げに効かせず,軸方向剛性に効かせる設計法もあると考える.1995年の兵庫県南部地震では,中間層崩壊の被害を受けたRC建物が多く見受けられたが,これは高軸力下でのRC柱の変形能力の乏しさに起因するものと考えられる.RC柱の変形能力の乏しさを改善する方法として,RC柱断面に芯鉄骨を挿入する方法が考えられる.そこで,芯鉄骨合成柱の弾塑性挙動を把握するために柱の載荷実験を行った.実験変数に,a)断面構成(芯鉄骨合成柱,RC柱,SRC柱の3種類),b)芯鉄骨の断面形状(異形鉄筋とH形鋼の2種類),c)鉄骨鋼材量(RC断面積の1.5%,3.0%,5%の3種類),d)軸力比(SRC規準に規定されている制限軸力および断面圧縮耐力の30%の軸力の2種類),e)芯鉄骨の柱脚での定着の有無を選んだ.試験体は総計16体である.試験体は片持ち柱であり,一定軸力を載荷した状態で,水平力を正負交番繰り返し載荷した.実験を行った結果,以下のことが明らかとなった.1)RC柱は軸力を保持できなくなり崩壊したが,芯鉄骨合成柱は,大変形域で曲げ耐力が低下するものの,水平力が0となる実験終了まで軸力を保持でき,崩壊しなかった.2)芯鉄骨合成柱の曲げ耐力は,コンクリート強度を0.85倍したものと鉄骨の降伏応力度を用いて計算した一般化累加強度で,ほぼ評価できる.3)芯鉄骨の断面形状は,H形鋼よりも異形鉄筋を用いたほうが,軸縮みの進行が抑制され,耐震的に優れている.4)芯鉄骨の圧縮耐力に対する柱の作用軸力の割合を1.5程度にしておけば,耐震的に優れた性状を示す.5)柱脚部で鉄骨の定着を切った試験体は,土台部分にパンチングシア-型のひび割れが生じ,大変形域で耐力の低下が大きかった.今後,この定着を切ったもので,安定した挙動を得る方法を検討する.
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