1997 Fiscal Year Annual Research Report
微動特性と震源過程を考慮した1945年三河地震での建物被害分布に関する研究
Project/Area Number |
09750670
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Research Institution | Toyota National College of Technology |
Principal Investigator |
今岡 克也 豊田工業高等専門学校, 建築学科, 助教授 (20193667)
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Keywords | 三河地震 / 震源特性 / 表層地盤 / 微動特性 / 寺院被害 / H / Vスペクトル |
Research Abstract |
本研究は,1945年1月13日午前3時38分頃に愛知県三河地方に起きた三河地震(M=6.8,死者:2,306人)での建物被害分布に着目して,(1)震源過程,(2)震源距離,と(3)表層地盤の増幅効果,の影響度合を明らかにすることを目的としている。研究期間が2年間の1年目に当たる今年度の研究実績を以下にまとめる。 1.愛知県防災会議資料「昭和20年1月13日三河地震の震害と震度分布」と当時の古地図から,三河地震での「木造家屋の被害率」や「死者数」などを大字単位で整理し,表層地質図に記入した。その結果,建物被害分布は表層地質と良く対応し,特に沖積低地上に被害が大きくなる傾向が見られた。 2.被害率の高い西三河地域に現存する約50の寺院を訪問して,三河地震での寺院建物や墓石,灯篭などの被害状況を聞き込み調査して,寺院被害率を算定した。 3.西三河地域の小学校,中学校や公民館などで常時微動計測を実施し,H/Vスペクトルの卓越周期から基盤深さを算定し,また,H/Vの平均倍率から増幅効果の定量化を行った。これらの値については,1997年3月16日に愛知県東部で起きたM5.8のプレート内地震でのアンケート震度分布により,その妥当性を検討した。 4.三河地震の地震断層や震源特性を考慮した基盤上での加速度応答スペクトルを翠川・小林の方法で算定し,微動計測で求めた表層地盤の増幅倍率を乗じることにより地表面上の最大応答加速度を推定した。 5.シミュレーション解析により算定された基盤上や地表面上での最大加速度と寺院被害率とを対応させた結果,表層地盤の増幅効果が寺院被害率に及ぼす影響が最も高いことが判明した。 来年度は,木造建物の被害率について同様の手法で分析し,今年度の研究成果とを合わせて論文としてまとめる予定である。
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