1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09750678
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小椋 大輔 神戸大学, 工学部, 助手 (60283868)
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Keywords | 地下構造物 / 熱水分性状 / 擬線形化法 / 蒸発散 / 植生 |
Research Abstract |
(1)地盤の平均温度、含水率への影響の大きい地表面熱収支に関して、現在予測が困難な状況にある植生のある場合につて解析する方法について検討するため、実際に風洞を用いた実験を行った。植生としては建築環境でよく用いられる芝生を用い風洞内の温度を一定に保った条件下で、電球を用いた日射の有無及び風速の変化を与え、風洞床面に設定した試料箱の温度、水分状態および重量測定を行った。その結果、植生地盤での蒸発散に日射、風速及び土壌内の水分の影響が大きいこと、また降雨直後には葉についた水滴の影響が大きいことを確認した。次に植生地盤地表面の単純なモデル化を行い、実験結果をもとに、水分伝達係数および芝生の熱伝導率という未知物性値の同定をおこなった。その結果、水分伝達係数が風速の影響を大きく受けていることを明らかにし、また地表面温度が実測と計算とで一致する場合の芝生の熱伝導率を同定した。日射がない場合については許容できる地表面温度予測が行えるが、日射がある場合については植物の蒸散のモデル化が必要であることを明らかにした。 (2)地下構造物の熱水分性状を知るためには煩雑な非線形計算が必要となるため、これの線形近似についての可能性と適応範囲を検討した。手法としては擬線形化方程式を用いた数値解析により検討を行った。地表面は既に予測が可能であると確認されている裸地を考え、外界条件の中で外気温、外気相対湿度の年平均地の変化に対する、地盤内温度の非線形解析による正確解と擬線形解析による近似解とを比較し、外気温に関しては10℃程度、外気相対湿度に関しては20[%]程度の範囲でよく一致し、日本のような気象条件で十分適応可能な精度を有することを確認した。また埋設型地下構造物の熱負荷に関して外気温、室温変化に対しては、その適応範囲がそれぞれ±10℃、±15℃程度であることを確認した。
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