1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09750680
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
酒井 孝司 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (40274691)
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Keywords | 通気壁体 / 煙突効果 / 自然対流 / 数値流体力学 |
Research Abstract |
本研究では,木造住宅の壁体に設けられる内部通気層の熱・通気特性を明らかにすることを目的として,Computational Fluid Dynamics手法を用いた通気層内気流解析を行っている.平成9年度に得られた成果を以下に示す. (1)通気壁体模型を作成し,外界気象に曝露して実測を行った.実測結果を基に,低Re数型k-eモデルを用いて通気層内の数値解析を,定常・非定常で行った.その結果,通気層内での自然対流による集熱が行われていることを,実験・数値解析から示した. (2)通気層内の数値解析をする際,通気層のみの解析では,計算が不安定になる.そのため,通気層背後に空間を付加し,計算を行った.その結果,計算は安定に推移し,非定常解析を行うことが可能となった. (3)非定常解析の結果から,通気層の集熱量は,集熱量あたりで最大100W程度あり,集熱量の室内側表面から空気が取得する熱量は,総集熱量の1/3程度であることを示した.また天空日射のみの場合でも上昇気流があることを示した. (4)屋根内に通気層を設けた小屋裏・床下模型を作成し,通気層内の熱・湿気特性に関する実測を行った.その結果,通気層が,躯体内の除湿効果を持つことが明らかになった.また通気層からの流出気流の風速を実測した.実測結果は(2)で行った解析結果とほぼ同程度であり,数値解析法の有用性が示された. (5)通気層を持つ建物のシミュレーションを行う前段階として,小屋裏・床下模型の非等温数値解析を行った.その結果,屋根内に通気層を持つ検討ケースで,換気性状に優位性が見られた. 次年度は,通気層内の熱・湿気性状に関するシミュレーションを行う予定である.
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[Publications] 酒井孝司,石原 修: "夏季蒸暑地域における小屋裏床下空間の温熱性状に関する研究 第2報 実大小屋裏・床下実験模型における夏季・冬期実測" 空気調和・衛生工学会学術講演会講演論文集. 497-500 (1997)
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[Publications] 酒井孝司,石原 修,他2名: "外張断熱通気工法における壁体内通気層の熱・通気特性に関する研究" 日本建築学会計画系論文集. 502号. 29-36 (1997)
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[Publications] 酒井孝司,石原 修,他1名: "夏季蒸暑地域における小屋裏床下空間の温熱性状に関する研究 第3報 小屋裏・床下空間の自然換気における排熱・排湿効果" 日本建築学会九州支部研究報告. (印刷中). (1998)