1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09750701
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
檜谷 美恵子 大阪市立大学, 生活科学部, 助教授 (60238318)
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Keywords | 現代女性 / 居住ニーズ / ジェンダー / 育児 / 共同住宅 / コレクティブハウス / 居住地計画 / 女性の参加 |
Research Abstract |
欧米におけるジェンダー・パースペクティブをかかげた住宅研究をサーベイし、現代女性の居住ニーズについて検討した。既往文献から得られた知見は次のように整理される。 (1)女性の社会参画がすすむにともない、これまで女性役割として位置づけられ、また実際に女性がそのほとんどを担ってきた家事、育児、介護の問題が顕在化している。 (2)世帯形態の多様化やライフスタイルの変化にともない、住宅の立地、建てかた、間取り、所有関係にたいする指向性が変化している。選択肢を増やす住宅政策が求められている。 (3)住まいとかかわってもっとも切実な問題として意識され、また取り組まれているテーマは育児である。働く女性は、保育空間、保育サービスの現状にたいする不満が高い。 (4)一般に、男性世帯主世帯に比べ、女性世帯主世帯は所得水準が低く、社会サービスにたいする潜在ニーズが高い。 (5)自家用車を保有・利用する女性は男性より少なく、女性の交通手段は徒歩や公共交通手段により依存している。歩きやすい街路の整備や公共交通手段へのアクセスの改善は、女性のモビリティーを高める効果が大きい。 (6)女性の視点をとりいれた居住地整備をすすめるためには、政策決定機構に女性が参加することが不可欠であり、また、もっとも効果的であると認識されている。 これらの知見にもとづく調査仮説を検討し、社会活動に参画している女性を対象に、家族観・住まい観と、住宅の形態や居住サービスにたいする指向性との関連性を調査した。その結果、家族や住まいのあり方にたいして、先鋭的な意識をもつ女性ほど、コレクティブハウス(一棟あるいは一住宅団地内に独立完備した住戸と、居住者が日常生活行為の一部を共同化するための共用空間や設備を有する集住形態)に代表される、新しい居住形態にたいする指向性が高いことがわかった。
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