1997 Fiscal Year Annual Research Report
日本の伝統的民家の架構技法における空間意匠と構造の整合性に関する研究
Project/Area Number |
09750703
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
堀江 亨 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (70256832)
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Keywords | 伝統的民家 / 木造 / 架構法 / 軸組 / 小屋組 / 位相 / 屋根荷重 |
Research Abstract |
1.日本の伝統的民家における多様な架構形式を包括的に把握するために、重要文化財修理工事報告書、民家緊急調査報告書、既報文献等を通覧し、構法多様性の実態を把握した。そののち、部材の構成、位置、高さの基本概念を、軸組と小屋組の関係に着目し、記号化した水平領域と高さによる位相として規定し直した。そして、部材相互の位置関係から部材の研究上の名称を再定義した(成果公表済み)。 2.分析対象として、地域に固有な名称を冠せられるような安定したシステムとして存続していた架構法を18地域選定した。既往資料から図面等の資料を収集したのち、実際の建物を調査し、部材の寸法、構成、接合部の納まり等を実測し、架構の立体的構成を架構図ならびに写真により詳細に記録した。 3.得られた実測資料および文献資料を吟味し、代表的な建物を18地域から各1棟抽出して、CADソフトウェアを用い、平面形式と架構法の基本構造を整理した。また、柱、立ち上がり構面、梁組みの基本配置、部材名称等の特徴を把握した。 4.軸組部材に伝わる屋根荷重の経路を把握するために、屋根荷重の起点として扠首尻や束の位置を拾いだし、荷重点の分類、整理を行った。18地域の代表例に対して、荷重点から軸組の各部材に広がっていく荷重経路の概念を用いて、単一の荷重経路を軸組構成材の組み合わせとして表わしチャート化した。このことにより、小屋組を支持している軸組部材の構成原理をヴィジュアルに図解することができた。
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