1997 Fiscal Year Annual Research Report
インドの伝統的建築規準書の理論的建築と実際の石窟建築との関連に関する研究
Project/Area Number |
09750714
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
野々垣 篤 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 講師 (10283392)
|
Keywords | インド / インド建築 / 石窟 |
Research Abstract |
本年度の実施計画にしたがってその成果を以下に述べる。 1)南北インドの伝統的建築規準書それぞれについて,建築専門用語の抽出とその整理:南北インドの伝統的建築規準書関係史料を収集し,整理することを主眼としてきた。それら逮築規準書の中から,本年度は特に5世紀成立のVisunudharmottara Puranaと11世紀頃成立したSamarangana Sutradharaを中心に分析を進めた。前者はマ-ナサ-ラ系の規準書以前のものであり,特にグプタ期以降ヒンドゥー教建築の影響を強く受けて発展した後期仏教石窟に極めて関係が近いと考えられたが,寺院が吉兆を招くようにシンボルなどをどのように配すべきか,どのような建築各部の比例にすべきか等について把握された。この記述を整理した成果については,日本建築学会98年度大会学術講演会にて発表準備中である。後者については1984年に同書に関するセミナーが開かれたインド・ヴィクラム大学へ1997.12.26から1998.1.7の間訪問し,未出版の資料の提供を受け,現地での研究状況の把握と位置づけについてアドバイスを得た。加えて本研究全体の方向性についての意見を得た。 2)南北インドの伝統的建築規準書内での建築用語及び建築構成要素の差異の検討および3)建築専門用梧のデータベースの作成:現在既存のデータベースソフト上にて単語の入力が一通りなされた段階である。関連資料が多く,まだ多くの史料から単語を抽出する必要があり,次年度も継続的に行い,更に充実をはかる予定である。4)伝統的建築規準書のそれぞれで記述される建築及び都市計画に関する哲学とそれによって導き出される建築・都市の形態についての把握:今年度は上記1)にも挙げたように,2つの建築規準書を中心に把握を行った。 今後の課題:上記を含め,収集した他の規準書からのデータと共に総合的に判断し,当初目的の石窟建築の空間計画との関係について考察する。
|