1998 Fiscal Year Annual Research Report
斜入射X線異常反射率法による液体金属表面・界面の深さ方向密度分布の精密決定
Project/Area Number |
09750727
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 正敏 東北大学, 素材工学研究所, 助手 (40241583)
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Keywords | 表面・界面 / 斜入射X線反射率法 / エネルギー分散型 |
Research Abstract |
液体の表面や界面の構造に関する情報は、表面近傍における成分比がバルクの値から著しくずれる表面分離や相分離現象を科学的に解明する上で不可欠である。また、電気化学反応や触媒作用を制御する技術的課題にとっても重要な基礎情報である。液体の表面や界面の構造を調べる実験的手段の1つとして、X線の全反射現象を利用した斜入射X線反射率法がある。表面に対してX線を平行に近いきわめて浅い角度で入射すると全反射が起き、この様な全反射条件下ではX線の物質への侵入深さは数nm程度に抑えられ、また観測される反射強度プロファイルはその深さ領域の密度分布を反映する。しかし、斜入射X線反射率法による液体/電極界面の評価は上層の液体によるX線の吸収が非常に大きいという理由から実際には殆ど行われていない。本研究では、この問題を克服する新たな方法として、エネルギー分散型による斜入射X線反射率測定法の開発を試みた。液体/電極界面での反射率測定として、0.01mol/l NiSO_4水溶液/Fe電極界面について測定を行った。この測定により,水溶液/電極界面での反射率測定がエネルギー分散型を利用することで十分に可能になることが立証できた。また、Fe電極およびSUS304上に真空蒸着により金を積層させたAu電極上にNiを電析させた界面での反射率測定を実施した。Fe電極の場合、通電時間の増加と共に密度の増加が認められた。この理由としては、Fe電極上にFeよりも重元素であるNiを析出させた結果、電極表面の密度は増加したと考えられる。一方、Au電極の場合はAuよりも軽いNiを析出させたにもかかわらず電極表面密度の増加が観測された。これは、Au電極表面には多数の空間的な欠陥が存在し、電気めっきによりその部分にNiが優先的に析出したために密度の増加が起きたと考えられる。
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