1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09750733
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒木 秀樹 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20202749)
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Keywords | 異常拡散 / アレニウスプロットの曲がり / モタン / 高圧力 / 活性化体積 / 拡散機構 / フォノンソフニング / 不純物拡散 |
Research Abstract |
アーク溶解炉を用いてスポンジチタン(99.87%)とクロム(99.99%)から純TiとTi-5at%Cr合金を作製し、均質化焼鈍を行った。鏡面に研磨した後、クランプにより組み合わせて、常圧力実験の拡散対とした。この拡散対を石英管内にアルゴンガスとともに封入し、拡散焼鈍を行った。焼鈍後の拡散対の濃度-距離曲線をEPMAで測定し、俣野の方法とHallの方法により相互拡散係数を決定した。β-Ti中のCrの不純物拡散係数はCr濃度0における相互拡散係数として求めた。常圧力下のCrの不純物拡散係数のアレニウスプロットは上向きの曲がりを示したが、SnやWの不純物拡散係数のアレニウスプロットで見られた曲がりに比べると、その程度は小さい。β-Ti中のCrの不純物拡散のΔV/Ω(ΔV;活性化体積、Ω;純Tiのモル体積)は、0.38〜0.45であった。この値は、通常の単空孔機構によるbcc金属中の拡散のΔV/Ωの値(0.6)に比べてかなり小さいが、W(0.28〜0.41)、Snの不純物拡散係数のΔV/Ωの値(0.28〜0.41)に比べるとやや大きい。β-Tiでは、低温になるに従い、bcc構造が不安定になり、LA2/3〈111〉、T_1Al/2〈110〉フォノンモードにソフニングが生じているとの報告がある。このフォノンソフニングのため、拡散原子の移動エネルギーが低温になるにつれて小さくなるとするフォノンソフニングモデルを用いて、アレニウスプロットの曲がりの程度と活性化体積の大きさの関係を説明することができた。
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