1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09750739
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
尾崎 純一 群馬大学, 工学部, 助教授 (30214125)
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Keywords | 炭素材料 / ドーピング / 光電変換機能 / 表面状態 |
Research Abstract |
本研究は主として縮合芳香環からなる低温炭素の光電変換素子への展開に関する基礎的な研究を行うことを目的とした。平成9年度10年度を通して以下のことが明らかになった。 1. 可溶性低温炭素の化学構造 ナフタレンピッチ(九大提供)よりベンゼン可溶性炭素(BS)を抽出した。構造解析の結果、ベンゼン核が5環縮合したものにプロピル基が置換した化合物が主成分であることが分かった。 2. 電子アクセプター物質-ブロモアニル-との相互作用 炭素質膜をBSブロモアニル(BA)のテトラヒドロフラン(THF)混合溶液からのスピンコート法により石英板上に製膜した。BAの添加により吸収スペクトルはほとんど影響を受けないが、蛍光発光強度は、著しく減少した。また、BA-BS混合物の赤外吸収スペクトルはBAに特徴的な振動吸収を示すが、そのX線回折図形はBAに特徴的なパターンを示さない。以上より、これら二つの分子は固体膜中で分子状態で混合し、光照射により電子的相互作用をもつものと推定された。 3. Au/Carbon/n-Si/Auセルの構築と光応答特性 2項と同じTHF溶液を用いてn型シリコンに製膜したセルの光応答特性を、波長390〜1000nmの単色光に対して検討した。BS単独およびBAを混合した場合両者とも、分光特性はシリコンの影響を強く受けている。しかし、バイアスをかけ光を照射した時に流れる電流は、BA/BS重量比が0.2まで増加するとき、BA無添加時の約7倍まで増加することが分かった。このことは、得られた光応答がシリコン単独で起こるものではないこと、つまり塗布膜が光キャリアの生成もしくは輸送に関わっていることを示唆するものである。 4. 光電変換セルの表面状態制御による光電流の増大 BSをスピンコート法により製膜する際の溶媒として、純粋なTHFおよび、過酸化物もしくはアルコールを混合したTHFを用いた。用いた溶媒の種類により生成する膜の表面の凹凸に差が現れること、そしてその凹凸の発達と光電流の間には強い相関のあることが見いだされ、今後可溶性炭素を用いた素子の性能改善の一つの方向が示された。
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[Publications] J.Ozaki et al.: "A spectroscopic study on benzene soluble fraction from naphthalene pitch" Carbon. 35. 1651-1653 (1997)
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[Publications] J.Ozaki et al.: "Preparation of Platinum loaded carbon fiber by using a polymer blend" Carbon. 35. 1676-1677 (1997)
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[Publications] J.Ozaki et al.: "Controlling factor of electrocatalytic activity of iron-containing carbon materials" Chem.Lett.1998. 573-574 (1998)