1997 Fiscal Year Annual Research Report
構造制御された機能性無機化合物薄膜の水溶液プロセスによる作製
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09750747
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
吉田 司 岐阜大学, 工学部, 助手 (90273127)
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Keywords | 半導体 / 薄膜 / 化学析出 / 電気化学析出 / エピタキシャル成長 / 水溶液プロセス / 硫化カドミウム / 硫化亜鉛 |
Research Abstract |
本年度は水溶液中での化学的、電気化学的な金属硫化物薄膜の析出に関して主に基礎的に検討し、その析出機構をいくつかの系について明らかにした。 チオアセトアミドを硫化物イオン源とした硫化カドミウム及び硫化亜鉛の析出について、前者が表面反応によって原子層を積み重ねる形で結晶成長が起こることによって薄膜成長するatom by atom機構であるのに対して、後者が溶液中で形成された微粒子が基板上に堆積することで薄膜成長するcluster by cluster機構であることが明らかとなった。本研究費によって購入した循環恒温層を用いて厳密な温度制御下で製膜を行い、薄膜成長の速度論的解析を行うことによって、反応の活性化エネルギーを調べたところ、CdSでは浴中の沈殿形成と基板上の薄膜成長の律速過程が異なり、薄膜成長は電解還元電流密度、すなわちCdS形成において副生するプロトンの消費反応によって制御されているのに対して、ZnSでは沈殿形成と薄膜成長の律速過程は同一であり、亜鉛チオアセトアミド錯体の加水分解反応に対応した一次反応として解析できることが明らかとなった。両者を混合した系では互いの反応にはほとんど影響されず、はじめにCdS、続いてZnSの析出が起こることにより、一段階の製膜プロセスにおいてCdS/ZnS二層膜が自己組織的に形成されることも明らかとなった。さらにCdSについては、Cdチオシアナト錯体の電気化学的分解を利用することにより、溶液中での固体粒子形成反応に影響されない薄膜成長が可能となることを、従来報告されていない手法として明らかにした。これらの手法はCdS薄膜の電気化学的エピタキシャル成長を可能にするものと期待される。 研究成果の一部は6件の国内学会、2件の国際学会及び4報の投稿論文として発表した。
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[Publications] T.Yoshida, et al: "Chemical Bath Deposition of Band Gap Tailored Indium Sulfide Thin Films" K.Rajeshwar, et al.(Eds.),Proc.Photoelectrochemistry,The Electrochemical Society,Inc.,Pennington,HJ. 97-20. 37-57 (1997)
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[Publications] K.Yamaguchi, T.Yoshida, et al.: "One-Step Electro Deposition of CdS/ZnS Bilayer from an Aqueous Mixture of Cd^<2+> and Zn^<2+>" Journal of Materials Research. (印刷中).
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[Publications] D.Schlettwein, T.Yoshida: "Electrochemical Reduction of Substituted Cobalt Phthalocyanines Adsorbed on Graphite" Journal of Electroanalytical Chemistry. (印刷中).
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[Publications] K.Hayashi, T.Yoshida, et al.: "La_<1-X>Sr_XMnO_<3->YSZ Composite Film Electrodes Prepared by Metal-Organic Decomposition for Solid Oxide Fuel Cells" Materials Science & Engineering,B. B49. 239-242 (1997)