1997 Fiscal Year Annual Research Report
金属-有機化合物法によるニオブ酸ストロンチウムバリウム薄膜の合成と評価
Project/Area Number |
09750748
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
坂本 渉 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50273264)
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Keywords | 金属-有機化合物法 / 薄膜 / タングステンブロンズ / (Sr,Ba)Nb_2O_6 / カリウム置換(Sr,Ba)Nb_2O_6 / c軸配向膜 / 金属アルコキシド |
Research Abstract |
研究計画に従い,金属-有機化合物法によるカリウム置換(Sr,Ba)Nb_2O_6(KSBN)薄膜の合成と評価に関する検討を行ったところ、以下の結果が得られた。適切な出発原料(金属Sr,金属Ba,KOEt,Nb(OEt)_5)および溶媒(エタノール)、溶液の安定化剤(2-エトキシエタノール)を選択し、各金属アルコキシドの溶液中での反応を制御することにより、均一かつ安定なカリウム置換(Sr,Ba)Nb_2O_6(KSBN)前駆体溶液が調製できた。この前駆体溶液中の反応生成物について^1H,^<13>C,^<93>Nb-NMR測定を行い、その構造について調べた結果、KSBN前駆体は各金属元素に配位する配位子のほとんど全てが2-エトキシエトキシ基に置換し、かつ対称性の高いNb(OR)_6八面体をその構造中に有するBa[Nb(OCH_2CH_2OEt)_6]_2,Sr[Nb(OCH_2CH_2OEt)_6]_2およびK[Nb(OCH_2CH_2OEt)_6]からなる複合アルコキシドであることがわかった。この溶液から調製したKSBN前駆体粉末は、600℃で良好な結晶性を有するタングステンブロンズ相へと結晶化した。薄膜合成には基板としてシリカガラス、MgO(100)、Pt/MgO(100)を用いた。KSBN前駆体溶液を用い、デップコーテイング法によりシリカガラス基板上に調製したKSBN薄膜は、600℃以上の温度でタングステンブロンズ相へ結晶化した。しかし、この薄膜は多結晶膜であった。一方、MgO(100)およびPt/MgO(100)基板上にKSBN薄膜を調製した場合には、c軸(分極軸)配向膜が得られた。この薄膜を走査型電子顕微鏡で観察を行ったところ、クラックやポアのない均質・平滑な膜であることがわかった。この薄膜に関するさらなる評価については、平成10年度に引き続き行う予定である。
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Research Products
(1 results)