1998 Fiscal Year Annual Research Report
金属-有機化合物法によるニオブ酸ストロンチウムバリウム薄膜の合成と評価
Project/Area Number |
09750748
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
坂本 渉 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50273264)
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Keywords | 金属-有機化合物法 / タングステンブロンズ / (Sr, Ba) Nb_2O_6 / 金属アルコキシド / 薄膜 / カリウム置換(Sr, Ba) Nb_2O_6 / c軸配向膜 |
Research Abstract |
研究計画に従って平成9年度に引き続き、金属-有機化合物法によるカリウム置換(Sr,Ba)Nb_2O_6(KSBN)薄膜の合成と評価に関する検討を行ったところ、以下の結果が得られた。平成9年度の結果から、MgO(100)およびPt/MgO(100)基板を薄膜調製時の基板として選択してKSBN薄膜を合成した場合には、この結晶の分極軸方向であるc軸に配向した膜が得られることがわかった。さらに、今年度はこの薄膜に関する評価を中心に行った。合成して得られた薄膜の結晶相については、配向薄膜の場合、X線回折のピーク数が少なく結晶相の同定が非常に困難であるため、ラマンスペクトル測定を行い、タングステンブロンズKSBN単相への結晶化を確認済みの粉末試料のラマンスペクトルと比較することにより同定を行った。また、この薄膜は広い波長領域で優れた透光性を示すこともわかった。MgO(100)基板上のc軸配向KSBN薄膜をX線極点図形測定によりその配向性について解析した結果、2つの異なるKSBN結晶格子がMgO(100)上にMgOのa軸に対してKSBNのa軸が18.5゚の角度をなして成長していることがわかった。Pt/MgO(100)基板上の薄膜についても同様の結果が得られた。さらにPt/MgO(100)基板上のc軸配向KSBN薄膜の電気的特性の評価を行ったところ、その誘電率の温度依存性からキュリー温度は約70-140℃であり、室温での誘電率は約1000-3000であることがわかった。また、強誘電体に特徴的なヒステレシスループも強誘電相が安定な低温域から室温付近の温度までの温度範囲で得られた。また、この薄膜の誘電特性の特徴としてブロードな相転移を示すリラクサー強誘電体に典型的な挙動を示すこともわかった。
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[Publications] W.Sakamoto: "Chemical Processing of Potassium Substituted Strontium Barium Niobate Thin Films through Metallo-organics" Journal of American Ceramic Society. 81・10. 2692-2698 (1998)
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[Publications] W.Sakamoto: "Preparation and Characterization of K(Sr_<0.5>Ba_<0.5>)_2 Nb_5O_<15> Thin Films by Sol-Gel Method" Integrated Ferroelectrics. 20. 117-128 (1998)