1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09750750
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
安達 信泰 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (90262956)
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Keywords | 磁性半導体 / 強磁性 / クロム化合物 / 薄膜 / キュリー点 / 磁化曲線 |
Research Abstract |
II-VI族希薄磁性半導体Cd_<1-x>Cr_xSeにおいて、クロムイオンを高濃度に置換した物質に強磁性が出現する可能性を調べるため、イオンクラスター蒸着装置を用いた薄膜合成を試みた。その結果、組成0≦x≦0.4ではほぼウルツ鉱構造の単相膜が得られ、0.4<x<0.7では膜はその他に副次相として、スピネル構造とNiAs型構造からなる混合相となり、それ以上の置換を試みようとすると、膜中にはCdイオンが含まれないNiAs型構造を持つCrSe単相薄膜が形成されることが明らかとなった。 組成0≦x<0.7の膜に関して5Kでの磁化曲線は常磁性磁化曲線よりも磁化率が大きく、磁化の温度変化では0.4<x<0.7の膜では120K以下で強磁性的な磁気オーダーが現れることを示す振る舞いが観測された。これまでにCr-Se系化合物で強磁性転移を起こす物質はCdCr_2Se_4が知られており、この物質のTcが130K付近であることと、スピネル構造を持つことから、組成0.4<x<0.7の膜に見られる強磁性成分はCdCr_2Se_4によると考えられる。しかし、膜の体積およびEDX組成分析から見積もられるクロムイオン数は磁化曲線の強磁性成分をCdCr_2Se_4によるとした場合のクロムイオン数よりも少ない。このことはCdCr_2Se_4おけるクロム1イオンあたりの磁気モーメント;2.7μ_Bよりも大きな磁気モーメントを持った相がCdCr_2Se_4以外に磁化に寄与していると考えることができる。XRDで単相な組成0≦x≦0.4の膜の強磁性的な磁化曲線も合わせて考えると未だに磁気的性質は未知であるCd_<1-x>Cr_xSe相においてクロムどうしが強磁性的にカップリングしている可能性が存在する。 また、一連の合成過程で作り出されたTc=60Kに磁気転移が見られるCr0.47Se0.53は過去の報告でTc=70Kのフェリ磁性を示すCr0.42Se0.58と磁化の温度変化が似ていることが明らかとなり、また磁気的オーダーが見られる5KではH=3000Oe近くもの高い保持力を示すヒステリシス磁化曲線を示す磁性半導体であることを見出した。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] N.Adachi,J.Hirano,T.Okuda,H.Kitazawa,G.Kido: "Magnetization Process in Cr Substituted Diluted Magnetic Semiconductor Films" Mtat.Res.Soc.Symp.Proc.517. 633-638 (1998)