1998 Fiscal Year Annual Research Report
カルボン酸と複合化したマンガンドープ硫化亜鉛微粒子の発光特性を支配する因子
Project/Area Number |
09750764
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
磯部 徹彦 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (30212971)
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Keywords | ナノクリスタル / フォトルミネセンス / 逆ミセル法 / ZnS:Mn |
Research Abstract |
逆ミセルは有機溶媒中における界面活性剤会合コロイドであり、ミセル内部に水を可溶化することでナノサイズのウォーターブールを形成できる。このウォーターブール中に様々な水溶性の反応物質を可溶化することによって、ナノサイズ粒子を合成できる。本年度の研究では、逆ミセルを用いて、Mn^<2+>にZnSをドープしたZnS:Mnナノクリスタル蛍光体を合成する手法を確立し、さらに、粒子の凝集状態が光学特性に与える影響を検討した。 溶媒としてヘプタン中に界面活性剤ビス(2-エチルヘキシル)スルホこはく酸ナトリウム(AOT)と水を加え、ミセル溶液を作成した。一方に、酢酸亜鉛水溶液と酢酸マンガン水溶液を加え、もう一方には硫化ナトリウム水溶液を加え、2種類のミセル溶液を作成し、両者を混合することによって、ZnS:Mnナノクリスタルを合成した。 光吸収スペクトルから、合成したZnS:MnのバンドギャップE_gは4.13eVであり、バルクの値3.58eVよりも大きかった。この差から、effectivemasstheoryに基づくと粒子半径は1.5nmである。粒子半径はポーア半径3nmよりも小さいので、量子サイズ効果によってE_gが増大したことが確認された。発光スペクトルには、2.14eVにMn^<2+>のd-d遷移による発光が見られた。励起スペクトルのピーク位置は4.01eVであり、バルクのE_gよりもブルーシフトした。一方、動的光散乱法(DLS)から求めた粒子半径は11±3nmであり、上記の光測定から求めた値を上回る。これは次のように解釈できる。逆ミセル溶液中で、ー次粒子同士は凝集しているが、AOTによる立体障害によって直接接触していない。したがって、粒子間で電子やホールの移動は起こらず、量子サイズ効果が現れる。今後は、逆ミセル剤にカルポン酸系の添加物を使用して発光強度を増幅させることを計画している。
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Research Products
(1 results)