1997 Fiscal Year Annual Research Report
ゾルゲル法による太陽電池の作製(高効率薄膜太陽電池の安価な作製をめざして)
Project/Area Number |
09750765
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
清 忠師 東京理科大学, 基礎工学部, 助手 (30206601)
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Keywords | 太陽電池 / 薄膜 / コロイド / ゾルゲル法 / 酸化亜鉛 |
Research Abstract |
ZnOにAlを添加すると、原子価制御機構によって自由電子が発生して透明導電性を示すことが解っているので、電池の構造を、ガラス基板/Al-ZnO/色素膜/金属電極とすることとした。Al-ZnO膜には高い導電性が求められるので、個々の結晶粒を大きくして粒界を減少させる必要がある。一方、ZnO膜は、比表面積を大きくして光の吸収効率を上げる必要があり、凹凸の大きな構造が求められる。このため、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、コロイド粒子の大きさ、形、焼結性とAl添加量および熱処理条件との関係を調べた。観察結果は、新規購入のインクジェットプリンターを用いて記録した。 0〜6mol%のAl添加では、添加量が増えるほど粒径が細かくなった。また、何れの添加量でも仮焼温度の上昇に伴って粒径が増大するが、440℃を境にして、480℃では返って粒径が減少した。X線回折図の温度依存性より、400℃付近から回折ピーク強度の伸びが急峻になることが分かっており、480℃で仮焼すると核生成が容易なために多数の核が発生し、個々の粒子が小さくなってしまった物と考えられる。 焼成温度が高いほど粒子径は大きくなるが、850℃では基板と接する緻密な層の上に第2層の粒子が分散するような構造が観察された。このモルフォロジーの変化は、800℃以上で基板との反応相が観察されたXRDの結果と一致している。従って、現段階で最も高い導電率を示すだろうと考えられるのは、粒成長が進んで粒界の減少した、以下の条件で作成された膜である。 仮焼:20℃/min. 440℃ 30min. 焼成:10℃/min. 800℃ 300min. 作成条件と粒径との関係が明らかになったので、今後は、新規購入した評価装置を用いて、各膜の膜厚と粒径を変化させながら太陽電池としての特性を調べ、最大の効率を得るための条件を明らかにする予定である。
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