1998 Fiscal Year Annual Research Report
計算機シミュレーションによる微細結晶粒多相組織の組織安定性
Project/Area Number |
09750766
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大沼 郁雄 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20250714)
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Keywords | 結晶粒成長 / オストワルド成長 / 粒子分散組織 / ピン止め効果 / 2相混合組織 / 界面エネルギー / 異常粒成長 / 3相組織 |
Research Abstract |
多結晶材料における結晶粒径の微細化は,材料の強度と延性を同時に改善するための有効な手法であるが,材料が高温にさらされたとき,結晶粒間の界面エネルギーを駆動力として粗大化が進行する.微細結晶粒組織を維持するためには,第2相粒子を組織中に分散させて粒界をピン止めするか,多量の第2相を混在させて2相混合組織とするなどの方法がとられるため,それぞれの組織の結晶粒成長のメカニズムを解明することが重要な課題となっている.本研究グループは,これまで,粒子分散組織について,粒子にピン止めされた粒界のたわみと,多結晶組織における粒界の曲率半径をシミュレーションの結果に基づいて評価し,マトリックス結晶粒の平均半径Rと粒子の平均半径rの相関式R=4r/(3f)を導いた.さらに,α+β2相混合組織について,α相とβ相それぞれの結晶粒界のエネルギーσ_<αα>,σ_<ββ>とα相とβ相間の異相界面のエネルギ-σ_<αβ>が同じ値を持つ場合,すなわち,σ_<αα>=σ_<ββ>=σ_<αβ>の場合のα,β結晶粒の平均半径R^^-_α,R^^-_βの間の相関式R_α/f_α^<1/2>=R_β/f_β^<1/2>を導出し,シミュレーションの結果と比較してその妥当性を検討した.本年度は,それぞれの界面エネルギーが一様ではない場合について,結晶粒のサイズを表すパラメータR=R_α+R_βが一定値を持つ条件の下で,粒界の面積S=3・(f_α/R^^-_α+f_β/R^^-_β)/2が最小となる粒径の関係をラグランジェの未定係数法で解析して,R^^-_α/[f_α・{(σ_<αα>/σ_<αβ>α)・f_α+f_β}]^<1/2>=R^^-_β/[fβ・{f_α+(σ_<ββ>/σ_<αβ>)・f_β}]^^<1/2>の相関式を導出した.α+γ低合金2相鋼やα+γ2相ステンレス鋼における実験結果を,界面エネルギーの文献値σ_<αα>=0.80,σ_<γγ>0.79,σ_<αγ>=0.56[J・m^<-2>]を参考にして上式で整理すると,実験値と計算値によい一致が見られる.
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[Publications] I.Ohnuma: "Computer simulation of grain growth in dual-phase structure" Philosophical Magazine A. (発表予定). (1999)
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[Publications] I.Ohnuma: "Grain Growth of Particle Dispersed Structure and Dual-Phase Structure" Proceedings of Recrystalization'99. (発表予定). (1999)
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[Publications] I.Ohnuma: "Computer Simulation of Grain Growth in Dual-Phase Structure" Proceedings of Recrystalization'99. (発表予定). (1999)
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[Publications] 大沼郁雄: "再結晶・集合組織とその組織制御への応用" 日本鉄鋼協会(発表予定), (1999)