応力下時効により組織制御したTi-Ni合金の二方向形状記憶特性

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09750774
• Research Institution: Osaka University
• Principal Investigator: 福田 隆 大阪大学, 工学部, 助手 (50228912)
• Keywords: 形状記憶合金 / チタン-ニッケル合金 / 析出物 / マルテンサイト変態 / アクチュエーター / 時効効果 / 組織制御 / 機械的性質

Research Abstract

等原子比組成よりNi過剰のTi-Ni合金を773K付近の温度で時効するとTi_3Ni_4相が析出する。この析出相を配向させると自発形状記憶効果が現れることが知られているが,この自発形状記憶効果の能力についてはこれまで全く評価されていなかった。本研究はTi_3Ni_4相を配向析出させたTi-Ni合金の自発形状記憶効果の能力を評価することを目的とした。
Ti-51at%Ni合金の板を一軸引張応力下で時効処理することにより,Ti_3Ni_4相をその晶癖面が引張り方向に対して垂直になるように配向析出させた。この配向析出させた試験片の自発形状記憶効果の能力を調べるために,一定の引張応力を加えた状態で熱サイクル試験を行った。その結果,試料はB2→R変態に伴い,外部からの引張応力に抗して収縮すること,その収縮量は引張応力の増加にともない減少することが明らかとなった。また,試料が収縮する際に外部に対してなす仕事は引張り応力が50MPaから100MPaのときに最大となることが明らかとなった。さらに,B2→R変態開始温度は外部から加える引張応力が増加するにつれて低下することを見出した。一方,R→B19′変態にともなって試料は,応力が小さい場合は収縮するが,50MPa以上の応力を加えると伸びた。すなわち,R→B19′変態にともなう自発形状記憶効果の能力はB2→R変態にともなうそれに比べて遙かに低いことが明らかとなった。また,R→B19′変態開始温度は引張応力の増加にともない高くなることがわかった。

Research Products

• [Publications] 福田隆 他3名: "Two-Way Shape Memory Properties of a Ni-Rich Ti-Ni Alloy Aged under Tensile-Stress" Materials Transactions, JIM. 38巻 6号. 514-520 (1997)
• [Publications] 福田隆 他3名: "Stress-Induced R→B2 Transformation and Psudoelasticity Associated with Twinning in a Ti-Ni Alloy Including Aligned Particles of Ti_3Ni_4" Materials Transactions, JIM. 38巻 12号. 1057-1062 (1997)