1998 Fiscal Year Annual Research Report
Al-rich TiAl単結晶の変形挙動に及ぼすAl_5Ti_3型超格子規則相の寄与
Project/Area Number |
09750775
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中野 貴由 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30243182)
|
Keywords | 長周期規則構造 / 普通転位 / 変形双晶 / APB / 面欠陥 / 単結晶 / TiAl / Al_5Ti_3相 |
Research Abstract |
新しい軽量耐熱材料として期待されているTiAl相について、高Al濃度領域にて析出する微細な長周期規則相(例えば、Al_<11>Ti_7相、Al_5Ti_3相、h-Al_2Ti相、r-Al_2Ti相)に注目し、力学特性との相関を明らかにした。平成9年度に、単結晶を用いて、マクロな力学特性を明らかにしたのに引き続いて、平成10年度には、ミクロな転位の振る舞いと力学特性との相関を明らかにした。TEMでの詳細な観察によると、主すべり系として活動する、<101]超格子転位、<110]普通転位、<112]変形双晶の発現は、荷重軸方位、結晶のAl濃度、変形温度に強く依存するとともに、その運動形態は、Al_5Ti_3をはじめとする長周期規則相から強い影響を受けた。例えば、<110]普通転位は、低Al濃度(Ti-55at.%Al)側において、個々に独立して運動しているのに対し、Al濃度の増加とともに、3本、そして4本で集団運動するようになる。このことは、1/2<110]は、Ll_0母相中では面欠陥を形成することなく普通転位として振る舞うが、一度、Al_5Ti_3相内に侵入すると、APB欠陥を形成することに由来する。この場合、4本目の転位の導入によって、初めて本来の構造へと戻る。したがって、Al_5Ti_3相の発達にともなって、面欠陥エネルギーの減少を駆動力として、転位が集団運動するのである。さらに低Al濃度、低温変形において認められた、Faulteddipoleは、Al濃度の増加、温度の上昇とともに消滅した。これは、SISF、ならびにSESFとの組み合わせとして形成されたFaulted dipoleが、Al濃度の増加にともなうAl _5Ti_3相の発達によって、CSFを生み出すこととなり、そのエネルギーが急速に増加するためである。同時に、Ll_0構造特有の双晶、反双晶の異方性が、Faulted dipoleの形成とも密接に関係していることが明らかになった。以上本研究では、マクロな変形挙動のみならず、ミクロな転位・双晶の活動形態までもが、Al_5Ti_3相を含む長周期規則相の存在に強く支配されていることを示した。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] T.Nakano,Y.Umakoshi et al.: "Stress anomaly in Al-rich TiAl single crystals deformed by the motion of 1/2∠110] ordinary dislocations." Philosophical Magazine Letters. 78[5]. 385-391 (1998)
-
[Publications] T.Nakano,Y.Umakoshi et al.: "Effect of Al_5Ti phase on plastic behaviour in Ti-62.5at.% Al single crystals" Proceedings of MRS sympo.in press. (1999)
-
[Publications] T.Nakano,Y.Umakoshi et al.: "Ordering process of Al_5Ti_3,n-Al_2Ti and r-Al_2Ti with F.C.C.based long period super structures in rapidly solidified Al-rich TiAl alloys" Acta Materialia. in press. (1999)