1998 Fiscal Year Annual Research Report
SiGe焼結体の粒界ポテンシャル障壁に及ぼす粒界近傍への選択的ドーピングの効果
Project/Area Number |
09750776
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
岸本 堅剛 山口大学, 工学部, 助手 (50234216)
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Keywords | シリコンゲルマニウム / 選択的ドーピング / 粒界 / ポテンシャル障壁 / プラズマ処理 / 焼結体 / 熱電変換材料 / 熱電気的特性 |
Research Abstract |
代表者らは、焼結体熱電変換材料の(特に粒界・界面における)微細構造を制御することにより、それらの熱電性能の改善を目指している。今年度は、シリコンゲルマニウム(SiGe)焼結体に対して、ポテンシャル障壁散乱効果によるゼーベック係数の増大を期待して、粒界に形成されるポテンシャル障壁の制御を試みた。 粒界ポテンシャルの制御には、ヘテロ構造でのバンドオフセットを利用した。具体的には次のようにして試料を作製した。焼結前に原料粉体に対してSiH_4あるいはGeH_4ガスのプラズマ処理中で処理を施し、その表面にSiあるいはGeのコーティング層を形成した。引き続きその粉体を焼結した。コーティング層は焼結後も粒界に留まり、ヘテロ構造をもつ焼結体を得ることができる。粒界にポテンシャル障壁が形成されると予測される、p-SiGe:B/i-Geおよびp-SiGe:B/n-Si(ここで、X/Y:Xは母体でYは粒界層の意であり、p-、i-、n-はそれぞれp型、真性、n型を表す)の2つの系に対して実験を行った。 得られた焼結体のゼーベック係数を測定・評価した。それらは、処理を施していない焼結体のゼーベック係数よりも大きな値を示した。ゼーベック係数の差分は、室温では20〜40μV K^<-1>であり、低温ほど大きくなった。この傾向は、ポテンシャル障壁散乱効果で予想されるものと一致する。 そこで、粒界ポテンシャル障壁を仮定してモデルを立てて、処理した試料のゼーベック係数の温度特性のフィッティングを行った。その結果、今回作製したp-SiGe:B/i-Geおよびp-SiGe:B/n-Siに対して、その粒界ポテンシャル障壁の高さはそれぞれ60 meVおよび45 meVであることがわかった。
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[Publications] 岸本堅剛: "SiGe/Si焼結体の作製とその熱電気的特性" 1997年度傾斜機能材料論文集. 215-218 (1998)
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[Publications] 小柳剛: "プラズマ粉体処理による熱電焼結体の微細構造制御" 日本金属学会誌. 62・11. 1075-1081 (1998)
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[Publications] 小柳剛: "プラズマ粉体処理による熱電焼結体の性能改善" 金属. 68・12. 1078-1085 (1998)
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[Publications] K.Kishimoto: "Thermoelectric properties of SiGe sintered alloys with modified grain boundaries" Proc.17th International Conference on Thermoelectrics. 257-259 (1998)
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[Publications] 岸本堅剛: "PbTe薄膜の作製とその熱電気的特性" 1998年度傾斜機能材料論文集. (印刷中). (1999)
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[Publications] 長本泰征: "プラズマ粉体処理によるミクロ傾斜構造をもつCoSb_3の熱電特性" 1998年度傾斜機能材料論文集. (印刷中). (1999)