1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09750790
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
大越 昌幸 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (70283497)
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Keywords | レーザーアブレーション / 鉄薄膜 / 耐食性 |
Research Abstract |
鉄は高純度であると耐食性に優れるといわれている。そこで本研究では、まず純度99.999%の高純度鉄をレーザーターゲットとして用い、レーザーアブレーション法によりシリコンおよび石英基板上へ薄膜化を行った。その結果、濃度0.001mol/lのNaCl水溶液中に試料を浸漬したところ、いずれの膜表面にも錆びの発生は全くみられなかった。同様に、大気放置した場合も、試料表面には錆び発生は認められなかった。走査電子顕微鏡によるこれら膜の断面像を観察したところ、膜内部には柱状構造は認められず、緻密な膜が形成しているものと考えられる。膜の電気抵抗率は、バルクの値(9.7μΩcm)に近い14μΩcmを示した。 比較のために、純度99.7%の鉄をレーザーターゲットとして用い同様の実験を行った。その結果、上記耐食試験において、純度99.999%の高純度鉄を用いた場合と同程度の耐食性を示した。 そこで、より純度の低い鋳鉄をターゲットとして用い、ターゲットの純度と膜の耐食性との関係を調べた。濃度0.001mol/lのNaCl水溶液中に、鋳鉄を薄膜化した試料を浸漬したところ、高純度鉄の場合と同様、試料表面の金属光沢は全く失われず、耐食性が示された。 但し、長波長のレーザー光を用いると(Nd:YAGレーザーの基本波1.064μm)、他の材料でもみられるようにレーザーアブレーション法では、膜中への粒子混入が問題となる。膜の耐食性の観点からいえば、その粒子が錆び発生の起点となることがわかった。その外には、成膜時における磁場印加効果を調べた。
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[Publications] M.Okoshi: "Pulsed laser deposition of corrosion-resistant iron thin films" Japan Journal of Applied Physics. 36. L801-L804 (1997)
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[Publications] M.Okoshi: "Corrosion-resistant iron thin films formed by pulsed laser deposition with cast iron targets" Applied Surface Science. 96-98(発表予定). (1998)