1997 Fiscal Year Annual Research Report
光照射による自己修復機能強化ステンレス鋼の耐環境脆化性
Project/Area Number |
09750795
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
春名 匠 大阪大学, 工学部, 助手 (70243186)
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Keywords | 環境脆化 / Type304ステンレス鋼 / 塩化物水溶液 / 紫外線照射 / CCDカメラシステム / き裂発生過程 / き裂進展過程 |
Research Abstract |
ステンレス鋼はその表面にナノスケールのバリアー型不働態皮膜を自発的に形成する,いわば自己修復機能を示し,環境劣化(腐食)を自発的に抑制する.本研究では,バリアー型不働態皮膜の形成段階もしくは荷重付加段階で光照射を行うことにより自己修復機能をさらに強化したステンレス鋼の耐環境脆化性を検討し,耐環境脆化性に対する最適前処理条件を見出すことを主目的とする.さらに,光照射による耐環境脆化性の向上の機構解明を目指す. 本年度は,電解質水溶液中の引張試験片表面に紫外線ランプによって紫外線を照射できる反応槽を自作した.この反応槽内で紫外線照射と同時に試験片を定電位分極し,その応答電流を測定できるように定電位電解装置を組み上げた.このシステムによって,電位制御による試験片への不働態化前処理と紫外線照射との時間関係を任意に設定することができる. 一方,申請したCCDマイクロスコープを導入して,応力腐食割れ試験装置に装備する映像記録装置を作製した.このCCDマイクロスコープは従来の化学顕微鏡と比較して焦点深度が非常に深いため,試験片上んに発生するき裂を非常に鮮明な画像で観察することができ,き裂長さを10μmの精度で測定することができる.CCDカメラとX-Zステージを組み合わせたので試験片に生じる多数個のき裂の成長過程を詳細に観察・解析することができる. 現時点では,予備実験として本装置によりステンレス鋼の孔食電位に及ぼす紫外線照射強度の影響について調べ,孔食抑制効果の顕著な紫外線照射強度を把握した.
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