1997 Fiscal Year Annual Research Report
GaAs化合物半導体スクラップの精製に関する基礎研究
Project/Area Number |
09750803
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
山口 勉功 岩手大学, 工学部, 助手 (70220259)
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Keywords | ガリウムヒ素化合物 / GaAs / 有効蒸気圧 / 揮発処理 / 真空揮発処理 |
Research Abstract |
GaAs化合物スクラップからのヒ素の揮発処理を考察する目的で,著者ら導出したGa-As2元系の活量データに基づき,Ga-As2元系合金の有効蒸気圧-温度-組成相関図を作製した。ヒ素の有効蒸気圧とは次式で定義される。 P_<eff>=P_<AS>+2P_<AS2>+3P_<AS3>+4P_<AS4> (1) ヒ素の蒸気種としては,単体,2量体,3量体,4量体が存在しており,有効蒸気圧は気相中に含まれるヒ素原子数の目安とされる。したがって,P_<eff>が大きいほどがGaAsスクラップからのヒ素の解離が進むものと評価される。 Ga-As2元系合金の有効蒸気圧-温度-組成相関図を作製した結果,GaAs化合物の融点1510KにおけるP_<eff>の値は1atmを越えているが,ヒ素のモル分率N_<AS>の減少とともにP_<eff>が急激に小さくなることが分かった。 一般に,1atmの気流中にある物質の揮発速度についておおよその概念を得たい場合は次のような目安が参考になる。 1)0.1atm以上:迅速に揮発する,2)0.01atm以上:揮発するが遅い,3)0.001atm以上:非常に遅い このような目安をもとにGaAsスクラップの1atmの中性気流中での熱分解によるヒ素元素の揮発による回収を考えた場合,GaAsスクラップの解離揮発は容易に進行するものと予測される。化合物は,熱分解によりヒ素元素濃度の低い溶融2元系合金に転換されるが,溶融合金の呈するP_<eff>もかなり大きいため,NAsが0.1以下のヒ素濃度の低濃度域まで熱分解によるヒ素の回収が可能と思われる。さらに大気下ではなく,真空下における揮発工程を採用することにより分離効果は大幅に向上するものと考えられる。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] K.Yamaguchi: "Free Energy of Mixing and Vapour Pressure of the Liquid Ga-As,In-As,Ga-P and In-P Alloys," Z.Metallkde. 89巻4号(掲載決定). (1998)