1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09750808
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
斎藤 秀俊 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (80250984)
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Keywords | エピタキシ- / チタニア / 単結晶 / アナターゼ / 成長様式 / ステップ / 沿面成長 / チタン酸ストロンチウム |
Research Abstract |
大気圧開放型CVD装置を用いると、酸化物膜は比較的速い速度で配向成長する。本研究では、ステップ高さ0.39nm、平均テラス幅150nmの格子ステップを表面に持つSrTiO3単結晶上に<001>エピタキシャルアナターゼ膜を作製した。原子間力顕微鏡(AFM)法によると膜の表面は多核成長による多数の結晶粒子で占められていた。良好な単結晶膜を作製するためには沿面成長の実現が理想的であり、そのためには高速エピタキシ-の成長機構を理解することが必要となる。本研究の目的は高速エピタキシ-過程におけるアナターゼの成長機構を解明することであり、最終的に良好な結晶成長の障害となる因子を決定する。核形成段階からの成長過程をAFMで観察すると、沿面成長によって結晶成長が開始され途中で多核成長に変わることがわかった。さらに沿面成長過程を詳細に調査するとアナターゼ結晶は平均0.61nmの高さでステップを形成し、多核成長に移行する前まで120nmの振幅および200nmの波長でゆらぎながら成長していた。以上の結果は、成長の過渡現象が良質な結晶成長の障害であり、過渡現象の要因がステップの不整合とゆらぎにあることを強く示唆する。アナターゼの成長様式はStanski-Krastanov(SK)型である。沿面成長の臨界膜厚の実験値は0.61nmであった。一方、ステップゆらぎは高過飽和下で結晶が沿面成長するときに起こる。本研究における原料過飽和度は約12%であり、安定成長の過飽和度1.4%を大きく上回っている。そのためにステップは大きくゆらぎ不安定化する。なお結果の詳細については、ホームページhttp://hts.chem.nagaokaut.ac.jpで公開している。
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