1998 Fiscal Year Annual Research Report
遠心鋳造の湯流れの可視化実験とそのコンピュータシミュレーション
Project/Area Number |
09750809
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
朱 金東 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50243176)
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Keywords | 遠心鋳造 / 充填過程 / 熱対流 / 可視化実験 / コンピュータシミュレーション / 遠心力 / 粘性力 / コリオリ力 |
Research Abstract |
1. 遠心鋳造のシミュレーション実験 シミュレーション実験および可視化観察より下記のことが分かった。 (1) 室温真ちゅう鋳型(横型)に鋳込んだ高温シリコンオイル(373〜473K)は自由表面側に流動の生じる領域と外周の鋳型側に流動の生じない領域の2つに分かれる。(2)流動領域では回転方向に鋳型に対して前方へ進む流れと動径方向の流れが存在し、その結果、複雑の渦流れとなる。(3)流動領域の幅は熱流体の温度が高いほど、また鋳型回転速度が速いほど、自由表面から鋳型に向かって広がるようになる。(4)さらに鋳型に対して回転方向の流れは熱流体温度が高いほど、また鋳型回転が速いほど、速くなる。 上記の熱対流現象を以下の物理モデルで説明できた。内側の自由表面で熱流体が冷却されるため、遠心力よりまず動径方向に密度差による流れが生じる。次に動径方向の流れが生じると、コリオリカより回転方向に流れが生じるようになる。従って、流動領域とその内部の複雑な渦流動現象は動径方向および回転方向にそれぞれ働く遠心力およびコリオリカの総合作用によるものと考える。また遠心鋳造におけるバンド偏析は固液領域で上記の渦流れにより、固相率の低い領域は自由表面(内側)ヘシフトし、濃化された液相が流入したためであると考える。2. 遠心鋳造の数値解析法およびコンピュータシミュレーションソフトの開発直接差分法に基づき、遠心鋳造プロセスをシミュレートできる解析手法と解析ソフトを開発した。遠心力、コリオリカおよび粘性力を考慮することによって、遠心鋳造の注湯過程、その後の密度差による熱対流をシミュレートできた。一方、バンド組織およびバンド偏析の解析については、現時点では困難であるが、今後、マクロモデル(熱・流れ解析、開発済み)およびミクロモデル(例えばフェーズフィールド法による組織予測)の連立解法を発展させることによって、組織および偏析の予測が可能になると期待できる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] I.Ohnaka,J.D.Zhu,Y.Nagasaka,T.Murakami and G.Y.Xiang: "Computer Assisted Engineering in Foundry" Proceedings of the Sixth Asian Foundry Congress. Vol.6. 23-26 (1999)
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[Publications] J.D.Zhu,I.Ohnaka and Y.Ageta: "A Fast and Practical Algorithm for Three Dimensional Computer Simulation of Mold Filling" Modeling of Casting,Welding and Advanced Solidification Processes VIII. Vol.8. 109-116 (1998)
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[Publications] I.Ohnaka,Ryougo Kanatani and J.D.Zhu: "Mold Filling Simulation with Non-Structured Meshing" Modeling of Casting,Welding and Advanced Solidification Processes VIII. Vol.8. 37-44 (1998)
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[Publications] 朱金東: "古代青銅器鋳造技術解明の試み-コンピュータシミュレーション技術の応用-" 銅. No.148. 12-12 (1999)
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[Publications] 朱金東: "青銅器鋳造技術のコンピュータシミュレーション" 第8回鋳造遺跡研究集会-弥生時代の鋳造(奈良県立橿原考古学研究所). Vol.8. 66-73 (1998)