1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09750812
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
大坪 文隆 九州工業大学, 工学部, 助手 (10243982)
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Keywords | 減圧プラズマ溶射法 / 高速フレーム溶射法 / 鉄合金 / 非晶質溶射皮膜 / 耐食性 |
Research Abstract |
Fe-Cr-C-PおよびFe-Cr-Mo-C-P系合金ガスアトマイズ粉末を作成し、減圧プラズマ溶射法および高速フレーム溶射法により軟鋼基材上に溶射皮膜を作製した. 減圧プラズマ溶射法では完全な非晶質皮膜が,一定条件による高速フレーム溶射法では溶射したままで Fe-10Cr-10Mo-2C-8P(mass%)合金はほぼ完全な非晶質皮膜が,Fe-10Cr-2C-8PおよびFe-20Cr-2C-8P合金は結晶質の混在する非晶質皮膜が得られた. 各合金の熱分析結果から,Fe-10Cr-10Mo-2C-8P,Fe-10Cr-2C-8P,Fe-20Cr-2C-8P合金の順に融点が高くなり,高速フレーム溶射によるFe-10Cr-2C-8PおよびFe-20Cr-2C-8P合金溶射皮膜では未溶融のまま結晶化した粒子が皮膜中に観察された.高速フレーム溶射法によって得られた皮膜は,溶射したままで約Hv(0.05)700の硬さを示した.脱気した1N HC1および1N H_2SO_4水溶液中におけるアノード分極曲線の測定を行った結果,ほぼ完全な非晶質皮膜となったFe-10Cr-10Mo-2C-8P合金が最も腐食電位が高く電流密度も低かった.結晶質の混在するFe-10Cr-2C-8PおよびFe-20Cr-2C-8P合金ではFe-20Cr-2C-8P合金の方が電流密度が高かった.これは結晶質の体積率がFe-10Cr-2C-8P合金よりも高いためであると推察された.また,得られた皮膜はニッケル基自溶合金溶射皮膜よりもはるかに耐食性が優れている可能性を有する. 来年度は,加熱による結晶化にともなう皮膜の硬さ変化およびアノード分極挙動の変化を調べ,さらに浸せき腐食試験を行って,耐食・耐摩耗溶射皮膜としての可能性を調べる予定である.
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