1997 Fiscal Year Annual Research Report
粘弾性流動シミュレーションを用いた高分子流体の定常流動特性測定系の改良および開発
Project/Area Number |
09750823
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
田上 秀一 福井大学, 工学部, 講師 (40274500)
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Keywords | 粘弾性流動 / 回転型レオメータ / 有限要素法 / せん断粘度 / 第一法線応力差 / 計算機シミュレーション / 高分子流体 |
Research Abstract |
円錐円板型、平行円板型の回転式レオメータ内の粘弾性流動について、流体-空気の界面で位置が変化しない完全滑りの境界条件を入れ、二重管ダイスウェル計算で高せん断速度領域までの計算が可能となった手法を用い、有限要素法による数値シミュレーシヨンを実施した。弾性の影響により二次流れが発生するが、その流速は主流に比べて数%以下と低く、また計算結果から求められた第一法線応力差やせん断粘度の測定値は粘弾性モデルから得られる理論値と相対誤差も高せん断速度領域においても1%以下と小さく、今回の計算条件では測定値に及ぼす影響が小さいことがわかった。コーン角やスリット間隔を拡げると二次流れも強くなるが、今回の計算条件では測定値に顕著な影響を及ぼすほどではなかった。また、粘度の低い高分子溶液を対象とするために慣性の影響も考慮した計算も、同じ境界条件の下で実施した。慣性の影響により発生する二次流れは弾性による二次流れとは流れ方向が異なり、流速も弾性による二次流れと比べて大きくなった。さらに、無次元せん断速度λ_γ(λ緩和時間、_γ:せん断速度)=100以上の高せん断速度領域になると、計算結果から得られた第一法線応力差の計算値が粘弾性モデルの理論値よりも小さくなった。第一法線応力差の理論値に対する計算値の相対誤差も、λ_γ=100以上ではλ_γの増加とともに指数関数的に増加した。慣性の影響の無視できない粘度の低い高分子溶液については、第一法線応力差に関してせん断速度の測定限界があることが示され、高せん断速度におけるデータを取得する際には慣性の影響を考慮しなければならないことが示唆された。
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