1997 Fiscal Year Annual Research Report
固定化凝集性酵母を活用した高効率酵素生産およびバイオコンバージョン
Project/Area Number |
09750840
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
近藤 昭彦 神戸大学, 工学部, 助教授 (40205547)
|
Keywords | 凝集性酵母 / 細胞保持粒子 / 固定化酵母 / Saccharomyces / Pichia / 分泌生産 |
Research Abstract |
酵素を各種の触媒として利用していく上で、簡便かつ安価に大量生産する手法の確立が望まれている。 本研究では、酵素を高レベルで分泌生産するとともに、凝集性を示す酵母系を構築し、多孔質体の細胞保持粒子(BSPs)への固定化培養法(連続およびDraw and Fill培養法)を確立することで、効率的な酵素生産システムを構築することを試みた。酵母系としては、強い凝集性を示し、酵素グルコアミラーゼを分泌生産するSaccharomyces diastaticusおよび凝集性は弱いもののタンパク質の分泌生産性が極めて高いPichia pastorisをモデル系に選んで検討を行なった。また、BSPsとしては、細孔径の異なる各種のポリウレタンフォームを用い、以下の様な成果を得た。 1)S.diastaticusの様に凝集性の強い酵母の固定化においては、細孔径が50ppiのBSPs(HR50)が固定化に最も適しており、Draw and Fill培養において、15-20mg-dry cell weight/BSP程度の高い菌体固定化密度が維持されることが、明かとなった。また、固定化されたS.diastaticusは、繰り返し培養を通じて、高いグルコアミラーゼ分泌生産活性を安定に保持しており、Draw and Fill培養の有効性が明かとなった。また酵母固定化BSPの顕微鏡観察を行ったところ、BSP内部まで、密に固定化されていることが明かとなった。 2)P.pastorisは、弱い凝集性を示すが、凝集の程度は培地中の炭素源の種類によって大きく異なることが明かとなった。すなわち、グリセロールを炭素源として用いた場合と比較して、グルコースを炭素源として用いた場合は、凝集性が著しく高いことが明かとなった。そこで、BSPsとしてHR50を用いて、P.pastorisのDraw and Fill培養における固定化量に与える培養炭素源の影響について検討した。その結果、炭素源がグルコースの場合は、P.pastorisの固定化量は著しく増加し、約7mg-dray cell weight/BSPの固定化量を達成することができた。したがって、弱い凝集性しか示さない酵母においても、培養条件を検討することで、固定化量を著しく上げることができると言える。
|