1997 Fiscal Year Annual Research Report
モリブデン系触媒を用いたアルカンの選択的異性化反応に関する研究
Project/Area Number |
09750847
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
松田 剛 北見工業大学, 工学部, 助教授 (10199804)
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Keywords | 酸化モリブデン / 水素還元 / 骨格異性化 / アルカン / 二元機能 / パラジウム |
Research Abstract |
MoO_3は工業的にアルケンのアンモ酸化触媒として用いられているが,MoO_3触媒を623Kで水素処理すると処理時間とともにヘプタン異性化活性が増加し,処理時間が24時間以上で一定となること,95%以上の選択率で異性化反応が進行することを見い出した。水素処理したMoO_3は代表的なアルカン異性化触媒であるPt/USYよりも高い異性化活性を示すことを明らかにした。単位表面積当たりの異性化活性を比較すると水素処理を6時間行った触媒が最も高い活性を示すこと,623KではMoO_3のMoO_2への還元は非常に遅く,完全にMoO_2に還元するためには48時間の処理が必要であることから,部分的に還元されたMoO_X(2<x<3)のほうがMoO_2よりも高い活性を示すと結論した。水素処理したMoO_3とPt/USYでは,異性化選択率および生成物分布に相違はみられないことから水素処理したMoO_3は脱水素・水素化能及び固体酸性の二元機能を有し,ヘプタンの異性化反応に高活性・高選択性を示すと推測した。 MoO_3では高活性を得るためには長時間の水素還元が必要である。そこで,MoO_3の還元を促進させるためにPdをMoO_3に担持させ,水素処理の影響について検討した。Pd/MoO_3の異性化活性も水素処理時間とともに向上し,6時間処理後にMoO_3触媒の定常活性とほぼ同程度の活性となるが,活性はさらに増加し,36時間処理後にMoO_3触媒の約2倍の定常活性を示すことを見い出した。Pd/MoO_3の異性化活性はPd担持率とともに増加し,Pd担持率0.01mol%以上では一定の活性を示すすことから,Pd担持率0.01mol%まではPdの存在により脱水素・水素化のステップが促進され異性化活性が向上するが,担持率がそれ以上では固体酸が関与するステップが律速となり一定の活性を示すと結論した。
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