1998 Fiscal Year Annual Research Report
モリブデン系触媒を用いたアルカンの選択的異性化反応に関する研究
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09750847
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
松田 剛 北見工業大学, 工学部, 助教授 (10199804)
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Keywords | 三酸化モリブデン / 水素処理 / 二元機能 / 貴金属 / 骨格異性化 / 脱水 / 脱水素 |
Research Abstract |
昨年度の研究で、623Kで水素処理したMoO_3触媒はへブタンの異性化反応に高活性・高選択性を示すこと、Pdを担持するとスピルオーバー効果によりMoO_3の還元が促進され、ヘブタン異性化活性がさらに向上することを明らかにした。しかし、Pdを担持すると還元が促進されるだけでなく表面積も増大するなどPdの役割については不明な点が多い。そこで本年度は、種々の貴金属を担持したMoO_3触媒を用いてヘブタンの異性化反応を行い、異性化活性におよぼす貴金属の種類の影響について検討した。 Pt、Pd、Rh、Ir、Ruを0.01mol%担持したMo0_3触媒を用いてヘブタン異性化反応を行った。623Kでの水素処理について検討したところ、すべての触媒で処理時間とともにヘブタン異性化活性は増加した。Mo0_3及びRu,Rh,Ir担持触媒では12時間処理で異性化活性はほぼ一定となったが、Pt及びPd担持MoO_3では活性は処理時間とともにさらに増加し、48時間処理で一定となった。48時間処理した触媒の活性序列はPt>Pd>Rh>Ir>Ruとなった。アルカンの異性化には固体酸性と水素化・脱水素の2つの機能が必要で、これらの機能のバランスで異性化活性が変化すると考えられる。そこで2-ブロパノール脱水・脱水素反応を行い、これらの機能におよぼす貴金属の影響について検討した。48時間処理した触媒を比較したところ、すべての貴金属担持MoO_3がMoO_3よりも高い脱水素活性を示し、その序列はPt>Ir>Pd>Rh>Ruとなり異性化活性の序列とは一致しなかった。Ru担持触媒はMoO_3と同程度の脱水活性を示したが、Pt、Pd、Rb、Ir担持触媒はMoO_3よりも高い脱水活性を示した。特にPt担持MoO_3はMoO_3の約2倍の脱水活性を示した。以上のことより、Ru担持MoO_3では水素化・脱水素能の増大のためへブタン異性化活性が向上するが、Pt、Pd、Rh、Ir担持触媒、特にPt担持MoO_3の高いヘブタン異性化活性は固体酸性の増加の影響も受けていると結論した。
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