1997 Fiscal Year Annual Research Report
無機多孔体と金属クラスターからなる新規な複合機能を有する触媒反応場の開発
Project/Area Number |
09750856
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
海老谷 幸喜 大阪大学, 基礎工学研究科, 講師 (50242269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田 清臣 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (90029554)
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Keywords | 無機多孔体 / 金属クラスター / 触媒反応場 / ハイドロタルサイト |
Research Abstract |
本研究は、無機多孔体の表面特性を利用して金属クラスターを表面に固定化し、新規な機能を有する触媒反応場の開発を目的とした。平成9年度の研究では、アニオン性粘土鉱物であるハイドロタルサイトの基本層に金属イオンを固定化し、ケトン類のバイヤービリガー酸化反応に対する触媒特性を検討した。さらに、酸化チタンに代表される金属酸化物の表面にパラジウム巨大クラスターを固定化し、アルコール類の酸化反応を行った。 1、ハイドロタルサイトを調製する際に目的とする金属イオンを混合することにより、マグネシウムとアルミニウムから構成されるハイドロタルサイトの基本層に第3成分(鉄イオンや銅イオン)が固定化される。この時、異種金属を基本層に導入しても、ハイドロタルサイトの層間距離が保持された。これらの触媒を用いて、酸素-アルデヒドを酸化剤とするケトン類のバイヤービリガー反応を行ったところ、金属イオンの導入により触媒活性が飛躍的に向上することを見出した。次に、操作性の向上を目的とし、金属含有ハイドロタルサイトのセルロース繊維への固定化を試みた。その結果、セルロース繊維に固定化した金属含有ハイドロタルサイトは元の構造と触媒の性能を維持したままであり、触媒が非常に容易に反応溶液から分離でき、かつ再使用が可能であるという優れた特徴を有することが明らかとなった。 2、パラジウム巨大クラスターを酸化チタン、酸化マグネシウムなどの金属酸化物の表面に固定化し、酸素分子を酸化剤とする種々のアルコール類の酸化的脱水素反応に用いた。その結果、固定化パラジウムクラスターは、均一系と同様、各種アルコール類の酸化反応に優れた触媒作用を示すことを見出した。また、固定化触媒においては、触媒の再使用が可能であるという特徴を有していた。固定化パラジウムクラスターにおいては、元のクラスターの大きさを保持したまま固体表面に非常に均一に分散していることがSEM観察により明らかになった 以上、本研究により、種々の金属種が優れた性質を保持したまま固体の内部や表面に固定化でき、温和な反応条件下での炭化水素の選択的酸化反応において優れた不均一触媒となることが明らかとなった。
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[Publications] K.Kaneda: "Catalysis of Giant Palladium Cluster Complexes.Highly Selective Oxidation of Primary Allylic Alcohols to α,β-Unsaturated Aldehydes in the Presence of Molecular Oxygen" Tetrahedron Letters. 38. 9023-9026 (1997)
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[Publications] K.Kaneda: "Catalysis of Layered Hydrotalcites in Heterogeneous Hydrocarbon Oxidations" Current Topics in Catalyst. (in press.).