1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09750860
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
池永 直樹 関西大学, 工学部, 講師 (20232209)
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Keywords | 石炭液化 / 鉄担持触媒 / オキシ水酸化鉄 |
Research Abstract |
本研究では、触媒前駆体の微結晶化を目的とし、鉄系触媒の中では比較的高い活性を持つオキシ水酸化鉄を新しい方法で炭素質に担持し、石炭液化反応を行った。また、反応後の触媒の再利用を検討した。 担持オキシ水酸化鉄触媒は、数種の活性炭をFeSO_4、NaOHおよびNa_2HPO_1のメタノール+水混合溶液に浸し、空気を吹き込みながら40℃で24時間攪拌し、蒸留水で洗浄した後空気中100℃で乾燥して調製した。このようにして調製した前駆体をXRDおよびXPS分析したところ、微結晶あるいは非晶質なオキシ水酸化鉄が生成していることが確認された。 活性炭(表面積:950m^2/g)を用いて調製した前駆体は高い転化率(91.1%)およびオイル収率(43.9%)を与え、液化反応に対して高い活性が知られている鉄ペンタカルボニルよりもわずかに高い活性を示した。このとき生成した活性種であるピロタイトの結晶子径をScherrer式より求めたところ18nmとなり、活性種の結晶子径が小さいほど高い転化率およびオイル収率を与えた。従来より指摘されているように、高活性を得るためには触媒結晶の成長を抑制することが重要であると考えられる。また、オイル収率より転化率の方が結晶子径により大きく依存していることから、ある程度低分子化されたアスファルテンやプレアスファルテンのような生成物からオイルを生成するためにも結晶子径が小さいことは重要であるが、巨大分子である石炭の分解ラジカルの水素化には触媒の微結晶化がより重要であると考えられる。 触媒の再利用を目的として、活性の高かった活性炭担持オキシ水酸化鉄触媒を用いた反応の残渣を触媒とし、過剰の硫黄を添加して反応を行った。触媒を再使用しても、転化率およびオイル収率はほとんど低下しなかった。そのとき、活性種であるピロタイトの結晶子径は23nmとなり、ほとんど成長していなかった。
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