1998 Fiscal Year Annual Research Report
有機溶媒を用いるナノ結晶光触媒の新規合成とその評価
Project/Area Number |
09750861
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
古南 博 近畿大学, 理工学部, 助手 (00257966)
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Keywords | 光触媒 / 酸化チタン / ナノ結晶 / 有機溶媒 / 結晶化 / アナタース |
Research Abstract |
近年、酸化チタン光触媒を用いて環境汚染物質を分解除去したり、水を水素と酸素に分解する試みが精力的に行われているが、反応を効率よく進行させるためには触媒自身の高活性化が必要不可欠となってくる。光触媒反応の速度論的考察から、高活性な触媒がもつべき物性は高表面積と高結晶性であると提案されていたが、沈殿法などの従来の手法で調製することは困難であった。 本研究では、有機溶媒中で金属酸化物を結晶化させるという、常法とは根本的に異なる新規な手法2法を開発した。具体的には、チタンアルコキシドを不活性な有機溶媒中で熱分解させる手法、および、溶媒に用いたアルコールから均一に生成する水を用いて、アルコキシドを加水分解する手法により酸化チタンなどのナノ結晶性酸化物が容易に合成できることを見いだいした。また、これらナノ結晶を各種光触媒反応に用いると、市販の高活性触媒を越えるきわめて高い活性を示すことを見いだした。これは、本手法で合成された触媒が大表面積と高結晶性の両物性を満足しているためであると考えられる。つまり、大表面積は基質の吸着量を増やし、光照射で生成する電子-正孔対の捕捉を効率よく進行させ、また、高結晶性は電子-正孔対の再結合確率を低下させる効果があるということで説明できる。さらに、後焼成により物性を変化させた触媒・を各種光触媒反応に用いて、触媒の物性と活性の相関を解析した。反応が完結するのに必要な電子(あるいは正孔)の数(反応電子数)が増えるにしたがって、触媒の結晶性(再結合確率)が重要になることを見いだした。このような知見に基づいて、水の完全分解反応に適した触媒を設計、調製して、水分解反応に用いると、期待通り、最も活性が高いと考えられているP-25(Degussa)の性能を越える高い水素および酸素生成速度を示した。
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[Publications] 古南 ら: "Novel Synthesis of Microcrystalline Titanium(IV)Oxide having high thermal Stability and Ultra-high Photocatalytic Activity" Catalysis Letters. 46. 235-240 (1997)
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[Publications] 古南,大谷ら: "Remtosecond Diffuse Peflectance Spectroscopy of Aqueous Titanium(IV)Oxide Suspension" Chemistry Letters. 1998・9. 579-580 (1998)
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[Publications] 古南,大谷: "光触媒の調製法" 電気化学および工業物理化学. 66・10. 996-1003 (1998)
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[Publications] 大谷,古南: "光触媒反応と評価" 電気化学と工業物理化学. 66・11. 1099-1110 (1998)
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[Publications] 古南ら: "Titanium(IV)Oxide photocatalyst of ultra-high activity" Catalyis Letters. 56. 125-129 (1998)
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[Publications] 古南ら: "Synthesis of Titanium(IV)Oxide of Ultra-high Photocatalytic Activity" J.Molecular Catalysis. (in press).
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[Publications] 古南ら: "酸化チタン光触媒の開発と環境エネルギー分野への応用展開" 技術情報協会, 261 (1997)