1997 Fiscal Year Annual Research Report
液-液界面を用いた付着性動物細胞の培養特性と組織化
Project/Area Number |
09750864
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
大嶋 孝之 群馬大学, 工学部, 助手 (30251119)
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Keywords | 付着性動物細胞 / 液-液界面 / 界面活性剤 / 細胞突起 |
Research Abstract |
接着依存性動物細胞は生理活性物質の生産など様々な分野で利用されている。しかしこうした動物細胞を生体外で培養するのに通常よく用いられている平面培養やマイクロキャリア培養では細胞の持つ特異機能や分化能を著しく低下させることが報告されている。本来、これらの培養法は細胞の増殖に適したものであり、細胞の分化や機能維持に適した新たな培養法の開発が望まれている。そこで申請者らは液-液界面培養法を提案している。これはフルオロカーボンなどの疎水性液体状に細胞を含む培養液を加え、界面上で細胞を培養する方法で、通常用いられている固体表面と比較して界面がフレキシブルであるため、より生体内の環境に近い物理的環境で細胞を増殖させることができるのではないかと考えられる。 本研究ではまずマウス由来繊維芽細胞であるL-929を用いて市販されているフルオロカーボン上で培養することを試みた。住友3M社製FC-40上では細胞は進展し、増殖する事が確認されたが、このFC-40をアルミナカラムで精製したものでは進展増殖が認められなかった。従って液-液界面上での動物細胞の増殖には界面活性剤などが必要ではないかと考え、精製FC-40に様々な界面活性剤を添加し、細胞の増殖を観察したところ、F_5BzClとPOCをFC-40に溶解しておいた時に最も細胞の増殖がいいことがわかった。またラットの黒色腫由来のPC12細胞は神経最長因子NGFを添加すると神経用の細胞突起を伸長するようになるが、この細胞を液-液界面上で培養する場合には、適度の界面活性剤と細胞外マトリックス成分であるコラーゲンやラミニン等を併用する事によりコラーゲンコート上と同等の細胞形態変化を達成することが可能になることがわかった。また界面活性剤を添加しない場合には細胞は細胞同士が結合しあい、細胞塊を形成する傾向が顕著に認められた。
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