1998 Fiscal Year Annual Research Report
液-液界面を用いた付着性動物細胞の培養特性と組織化
Project/Area Number |
09750864
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
大嶋 孝之 群馬大学, 工学部, 助手 (30251119)
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Keywords | フルオロカーボン / 付着性動物細胞 / 界面活性剤 |
Research Abstract |
申請者らは液-液界面培養法を提案している。これはフルオロカーボンなどの疎水性液体状に細胞を含む培養液を加え、界面上で細胞を培養する方法で、通常用いられている固体表面と比較して界面がフレキシブルであるため、より生体内の環境に近い物理的環境で細胞を増殖させることができるのではないかと考えられる。 この培養法を用いて、付着性のマウス由来繊維芽細胞であるL-929株を培養し、増殖能や増殖形態、および機能発現に関して検討した。 昨年度の研究でL-929株では住友3M社製フルオロカーボンFC-40上では細胞は進展し、増殖する事が確認されたが、このFC-40をアルミナカラムで精製したものでは進展増殖が認められなかった。ここに界面活性剤であるペンタフルオロベンゾイルクロライド(F_5BzCl)を200μg/ml程度の割合で添加すると細胞が界面上に付着し伸展増殖することが確認された。液-液界面播種直後(約1日)は生細胞数が減少したものの、その後は通常のデイッシュ上の細胞増殖速度を上回る速度で増殖し、最終的には同程度の細胞密度に達した。またこの間、液-液界面上の細胞はグルコースの比増殖速度が20%程度高く、液-液界面上では細胞活性が高まっていることが示唆された。また界面活性剤を添加していない場合には細胞は付着せず、球状のまま存在した。その後これらの細胞同士が付着しあい、細胞塊を形成していた。このことから液-液界面培養法は細胞の組織化にも効果があるのではないかと推定される。また様々な他の界面活性剤を用い、細胞接着および増殖を観察したところ、 ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、パーフルオロクタノイルクロライド(POC)などのイオン系界面活性剤を用いた場合には増殖に違いがあるものの、いずれの場合に細胞の接着が観察された。一方、非イオン系界面活性剤であるソルビタンセスキオレエート(SSO)やプルロニックF-68を添加した場合には細胞接着が認められなかった。また液-液界面培養が可能な界面活性剤濃度範囲を決定した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yoshiaki Shiba: "Growth and Morphology of Anchorage-Dependent Animal Cells in a Liquid/Liquid Interface System" Biotechnology and Bioengineering. 57. 583-589 (1998)
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[Publications] 芝 良昭: "液-液界面における付着依存性動物細胞の増殖および付着に対する界面活性物質の影響" 化学工学論文集. 24. 343-345 (1998)