1997 Fiscal Year Annual Research Report
残留農薬迅速分解のための固定化リグニン分解酵素バイオリアクターシステムの開発
Project/Area Number |
09750869
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
田中 孝明 新潟大学, 工学部, 講師 (00217043)
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Keywords | 固定化酵素 / バイオリアクター / リグニン分解酵素 / ペンタクロロフェノール / 担子菌 / 農薬分解 |
Research Abstract |
リグニン分解酵素を用いた残留農薬の迅速分解を行うためのバイオリアクターシステムの開発を目的として、その基礎となる研究を行った。平成9年度は酵素の生産および農薬の分解実験を行った。リグニン分解酵素生産菌としては担子菌カワラタケCoriolus versicolorを選択した。固体培養と液体培養とでリグイン分解酵素(リグニンペルオキシダーゼ,マンガンペルオキシダーゼ,ラッカーゼ)の培養体積当たりの生産量を比較したところ、固体培養の酵素生産量が液体培養の場合の10から100倍程度高かった。そこで、固体培養の菌体外酵素液を用いて農薬の一種であるペンタクロロフェノールの分解実験を行った。0.1-1.0mMのペンタクロロフェノール溶液に酵素液のみを添加したところ,7日間で80%程度のペンタクロロフェノールが分解された。酵素液に過酸化水素やマンガンイオンを添加したが、分解速度は10%程度しか上昇しなかった。ペンタクロロフェノールの分解には溶存酸素のみで酸化反応を触媒できるラッカーゼが主として寄与していると考えられた。比較として市販のヒイロケタPynoporous coccineus由来のラッカーゼを用いて分解実験を行ったところ,ペンタクロロフェノールの分解が確認された。高速液体クロマトグラフィーによる分析において分解産物と見られるピークが観察された。保持時間で比較したところ、テトラクロロ-1,4-キノン、テトラクロロ-1,2-キノン、テトラクロロヒドロキノン、テトラクロロカテコールとは異なった。未同定の分解産物のピークは反応3日目に最高濃度に達した後、減少したことから、さらに分解反応が進行したと考えられた。
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